魔法を全部抜いたら、16の種族が強くなった

デッキから魔法カードを全部抜いて、モンスターで埋めました。すると、24種族のうち16種族が強くなりました。
魔法で得をしていたのは、水の3種族だけでした。
ところが水の魔法を1種類ずつ抜くと、今度はどれを抜いても強くなりました。

私が制作した『背界の旅団』では、魔法カードはモンスターの「スペル枠」で唱えます。スペル枠は、モンスターが持つ、魔法を唱えるための枠です。火の枠なら火の魔法、水の枠なら水の魔法が使えます。魔法は戦いをひっくり返す切り札のはずでした。では、なぜ多くの種族は魔法を入れるほど弱くなり、水の種族だけが強くなったのでしょうか。

この記事で分かること

  • 魔法は、枠のない種族には重荷だった:ビーストは魔法を抜くと36ポイント強くなりました。
  • 水の強さは、1枚の強い魔法ではなかった:レベル1のモンスターから魔法を唱えられることが効いていました。
  • 直したのは魔法ではなく、枠の付き方:仲間がそろったときだけ枠が付くように変えました。

魔法を全部抜いて、モンスターで埋める

種族の強さは、学習済みAI(自分どうしで対戦を繰り返して指し方を覚えたプログラム)どうしの総当たりで測っています(測り方は「1万6千試合の総当たりで、24の種族の強さを測った」)。デッキはアプリが自動で組むのと同じやり方で、魔法を最大8枚入れます。

その8枚を全部抜き、空いた分をモンスターで埋めて、同じ相手と戦わせました。各組み合わせを先手・後手15試合ずつです。

種族魔法を抜いた後の勝率の変化
リザードマン(水)25.4ポイント下がる
シーマン(水)15.1ポイント下がる
カッパ(水)12.7ポイント下がる
オーク・トントゥ・アマゾネス・スネーク・エンジェルほぼ変わらない
ゴブリン13.9ポイント上がる
ハーピィ16.4ポイント上がる
デーモン24.4ポイント上がる
ドラゴン28.3ポイント上がる
ジャイアント30.0ポイント上がる
ビースト36.2ポイント上がる

表に出していない種族も合わせて、16種族が魔法を抜いた方が強くなりました。手札に魔法があっても、唱える枠を持つモンスターが戦闘にいなければ、その1枚は使えません。使えないカードが手札の席を埋めている間は、その分だけモンスターを呼べなくなる、と私は見ています。

水の魔法は、どれを抜いても強くなった

水の種族だけは、魔法を抜くと大きく弱くなりました。それなら、水の魔法の中に強すぎる1枚があるはずです。そこで水の魔法を1種類ずつ抜き、空いた分を(ほかの魔法を増やさず)モンスターで埋めました。

結果は予想と逆でした。シーマンとカッパは、どの1枚を抜いても勝率が2〜6ポイント上がりました。リザードマンで下がったのは、満潮の戦歌(味方全員の力を+2する)と深海の帳の2枚だけで、それも3ポイント以下です。

『背界の旅団』のカード「海神の怒濤」 『背界の旅団』のカード「満潮の戦歌」 『背界の旅団』のカード「癒しの雫」
水の魔法。海神の怒濤、満潮の戦歌、癒しの雫。どれも1枚抜くと、シーマンとカッパは少し強くなりました。App Storeで遊ぶ(無料)

それでも全部抜くと、シーマンは16.4ポイント、カッパは13.1ポイント、リザードマンは23.6ポイント下がります。強いのは特定の1枚ではなく、魔法を「何枚か」持てることでした。そして8枚は多すぎて、1枚をモンスターに替えても損をしません。

強さの元は、レベル1のスペル枠

水の種族では、レベル1の小さなモンスターの多くが水のスペル枠を持っていました。レベル1は、土地に何体も並べやすいモンスターです。どの戦闘にも唱え手がいるので、手札の魔法をいつでも使えます。一方、火・土・風では、レベル1で枠を持つモンスターは、調整の後の今でも1種類ずつしかいません。

そこで、魔法そのものではなく、枠の付き方を変えました。

  • シーマン貝笛奏者・シーマン珊瑚槍兵・リザードマン疾走兵:もともと持っていた水のスペル枠を外し、「自分のパーティに同じ種族が2体以上いれば、戦闘の間だけ水のスペル枠が1つ付く」能力にしました。
  • カッパ縄使い:水のスペル枠を外しました。
  • カッパ水術師:水のスペル枠を2つから1つにし、カッパが2体以上いることを条件にしました。
『背界の旅団』のカード「シーマン貝笛奏者」 『背界の旅団』のカード「シーマン珊瑚槍兵」 『背界の旅団』のカード「カッパ水術師」
枠の付き方を変えたカード。シーマン貝笛奏者、シーマン珊瑚槍兵、カッパ水術師。App Storeで遊ぶ(無料)

ねらいは、仲間をそろえた種族のデッキでは今までどおり魔法を唱えられ、ほかのデッキへ1枚だけ混ぜて唱え手にする使い方はしにくくすることです。

変えた後

種族変える前変えた後
リザードマン78.9%68.2%
カッパ72.3%66.8%
シーマン53.3%49.6%

3つとも下がり、土のスネークが抜けた1位になりました。

まだ分からないこともあります。水以外の種族が魔法で損をする理由が、枠が足りないからなのか、魔法の性能なのか、AIの使い方なのかは、まだ切り分けていません。デッキに魔法を8枚まで入れる自動の組み方そのものが、多すぎるのかもしれません。魔法の扱いは、これからも測り続けます。

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本記事は『背界の旅団』の制作者が、開発中の計測をもとに書いたものです。数値は2026年10月15日の計測で、配信中の版とは異なるカードを含みます。

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