試合の3分の2が引き分けだった。12巡で決着をつけるルールの調整

12巡で終わる試合の66.5%が、引き分けでした。
巡の数を14に延ばしても、引き分けは62.6%までしか減りませんでした。
先手の手札を1枚増やすと、先手はかえって勝てなくなりました。

私が制作した『背界の旅団』は、モンスターの部隊を進めて相手の土地を奪い、相手の「旅団長」(最初に本陣へ呼ぶモンスター。全員倒されると負け)を全員倒せば勝ちのカードゲームです。スマホで1試合10分ほどで遊べるように、12巡(両軍が12回ずつ手番をする)で終わる決まりにしています。でも、旅団長を倒しきる前に12巡が来てしまうことが、ほとんどでした。試合を10分に収めたまま、きちんと決着をつけるには、ルールのどこを変えればよいのでしょうか。

この記事で分かること

  • 延ばすより、判定を足した:12巡で終わったら土地の数で決めると、引き分けは8.7%になりました。
  • 先手を強くするつもりの1枚が、逆に効いた:先手の手札は4枚のまま残しました。
  • 手番をひとつの段階にした:進軍と召喚を、好きな順に行えるようにしました。

2,000試合ずつ、1つだけ変えて比べる

ルールの比べ方は、いつも同じです。同じ10個のデッキ、同じCPU、同じ乱数の種で、先手と後手を入れ替えながら2,000試合を流します。変えるのは1か所だけ。元の形は「12巡・先手の手札4枚」です。先手の勝率は、決着した試合だけで数えます。目安は、引き分けが20%以下、先手の勝率が45〜55%に収まることです。

試した形引き分け先手の勝率平均の巡
元の形66.5%47.5%10.66
14巡に延ばす62.6%48.7%12.00
先手を5枚に69.6%46.7%10.79
12巡で判定8.7%50.5%—

延ばすのをやめ、12巡で判定する

巡を14に延ばすと、試合は平均で1.34巡長くなるのに、引き分けは3.9ポイントしか減りませんでした。10分の試合が長くなるわりに、決着はほとんど増えません。延ばす案は捨てました。

代わりに、12巡が終わっても決着しないときの決め方を足しました。まず、自分の土地(本陣を含む)が多いほうの勝ち。同じなら、それぞれの土地から相手の本陣までの近さを比べ、近いほうの勝ち。それでも同じなら引き分けです。これで引き分けは8.7%になり、先手の勝率も50.5%に収まりました。

旅団長を倒すことは、今も一番の勝ち方です。ただ、倒しきれなくても、前へ出て土地を広げた側が報われるようになりました。

先手の手札は4枚のまま

先手は手札4枚、後手は6枚で始めます。先手が先に動ける分の有利を、手札の少なさで打ち消すためです。

先手が少し負け越していたので、4枚を5枚に増やす案も試しました。すると、引き分けが増え、先手の勝率はむしろ下がりました(47.5%から46.7%)。理由はまだ確かめていませんが、どちらにしても試合を決着しにくくするため、4枚のまま残しています。先手と後手を入れ替えて合計1万6千試合を流した最近の計測でも、先手の勝ちは49.9%でした。先手と後手の考え方は先攻の得をどう埋めるかを比べた記事にもまとめています。

進軍と召喚を、好きな順に

以前の手番は「進軍・戦闘」の段階が終わってから「召喚」の段階へ進む、2段の流れでした。召喚へ進むと、もう進軍には戻れません。この切り替えのたびに確認の画面が出て、手番が重くなっていました。

そこで2026年10月12日に、2つの段階を1つにまとめました(審査中の次の版から)。進軍・戦闘、本陣への召喚、手札を捨てることを、好きな順に何度でも行えます。そのかわり、召喚したばかりのモンスターは「行動済み」になり、次の自分の手番まで進軍できません。先に呼んで、そのまま攻め込むことはできないので、ゲームの駆け引きは変わりません。変わったのは、押す画面の数です。

あわせて、最初に旅団長を呼ぶことも「1巡目の召喚」として扱うことにしました。両軍とも、旅団長が進軍できるのは2巡目からです。最初の形では、旅団長を呼んだ後に、動けない手番を両軍が1回ずつ「手番を渡す」だけで過ごしていました。さらにその次の版からは、旅団長を呼び終えたら、すぐ2巡目の先手の手番から始まります。

同時攻撃では、能力がすべて消える

戦闘では、両軍がさいころを1個ずつ振り、パーティ全員の速さを足して、大きいほうが先に攻撃します。同じなら「同時攻撃」です。同時攻撃では、両軍の能力がすべて働きません。

この決まりは、自分を弱める能力も消します。海の怪物リヴァイアサンは力9・生命力9と並外れて強い代わりに、戦闘のたびに自分の力と生命力が6ずつ下がる弱点を持っています。古代のゴーレムは、先に攻撃する側になると自分から壊れます。同時攻撃では、その弱点まで消えてしまいます。

『背界の旅団』のカード「リヴァイアサン」 『背界の旅団』のカード「古代のゴーレムα」 『背界の旅団』のカード「古代のゴーレムβ」
弱点を持つ強いカード。リヴァイアサン、古代のゴーレムα、古代のゴーレムβ。App Storeで遊ぶ(無料)

弱点だけは残す案も考え、数えてみました。戦闘の11.6%が同時攻撃でした。リヴァイアサンが同時攻撃になった戦闘では、96.7%で勝っています。ところが同時攻撃になるのは、リヴァイアサンが出た戦闘の9%だけで、残りの戦闘では負け越していました。デッキから抜いた方が強くなるほどです。

そこで、今の決まりを残しました。強すぎる能力には、強すぎるだけのリスクがある。さいころが同じ目になったときだけ、そのリスクが外れる。その一瞬を待つ遊び方も、残しておきたいと考えました。

ルールの調整のまとめ

調整困っていたこと変えたこと
12巡の判定試合の3分の2が引き分け土地の数、次に前線の近さで決める
先手の手札先手が少し負け越す5枚にする案を試し、4枚のまま残した
手番の段階段階の切り替えで画面が多い進軍と召喚を1つの段階にした(1.5.0から)
1巡目旅団長が動けない手番が続く旅団長を呼んだら2巡目から始める(1.5.1から)
同時攻撃弱点まで消えるのは強すぎないか測った結果、今の決まりを残した

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本記事は『背界の旅団』の制作者が、開発中の計測をもとに書いたものです。2,000試合ずつの比較は2026年9月21日、そのほかの数値は2026年10月15日の計測です。

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