『背界の旅団』の火・水・土・風には、どれがどれに強いという相性がありません。
それなのに、土のドワーフは5枚すべてが速さ−1で、全員が足の遅い種族です。
そして火のアントには、デッキに何枚でも入れられるカードが3種類あります。
私が制作したカードゲーム『背界の旅団』(竜の背の世界で、旅団長を守りながら土地を進むiPhoneのカードゲーム)には、火・水・土・風の4つの属性があり、属性ごとに2つずつ、合わせて8つの種族がいます。多くのゲームでは、属性といえば「水は火に強い」といった相性のことです。ところがこのゲームでは、属性どうしの相性で数字が増えたり減ったりすることは一切ありません。では、相性のない属性と種族は、いったい何を分けているのでしょうか。
この記事で分かること
- 属性は、数字の癖を決める:火は力が高く、水はスペル枠が多く、風は速く、土は遅いが倒れにくい。カードの数字にはっきり偏りがあります。
- 種族は、誰と組むかを決める:多くの能力は「同じ種族が2体以上いれば」効く仕組みで、種族をそろえるほど強くなります。
- ロードは、属性の弱点を埋める:遅い土のゴブリンには速さを、魔法の苦手なバードマンにはスペル枠を、各種族の長が配ります。
属性に、相性がない理由
『背界の旅団』の4つの属性と8つの種族は、次の組み合わせです。各種族には、ふつうの仲間が4枚と、一族を率いる「ロード」が1枚、合わせて5枚のカードがあります。
- 火:オーク(力自慢の戦士の一族)とアント(蟻の一族)
- 水:シーマン(海に暮らす魚人の一族)とリザードマン(トカゲの姿をした一族)
- 土:ドワーフ(背は低いが頑丈な一族)とゴブリン(小鬼の一族)
- 風:バードマンとハーピィ(どちらも翼を持つ一族)
相性を入れなかったのは、このゲームの戦いが、カード1枚どうしの殴り合いではないからです。モンスターは同じ土地にいる仲間と「パーティ」を組み、まとめて戦います。一つのパーティには火と土、水と風が混ざることもあります。相手の属性を見て勝ち負けが決まるより、自分のパーティを誰で組むかで勝負が決まるほうが、このゲームらしいと考えました。
その代わりに、属性ごとの性格はカードの数字に込めています。カードには、攻撃の強さを表す「力」、倒れにくさを表す「生命力」、どちらが先に攻撃するかに関わる「速さ」、そして魔法を使うための「スペル枠」があります。この4つの数字の偏りが、属性の違いになります。
火:力で、押し切る
公式サイトでは、火の属性を「力で、押し切る。」と紹介しています。火の者は誰より力が強い、という設定です。数字でもそうなっていて、私はカードの能力値を決めたあと、火のカード11種の力を1ずつ上乗せしました。その結果、火のモンスター14体の力の平均は3.0で、4つの属性の中でいちばん高くなっています。
オークは一体ずつが強く、アントは数で押す
同じ火でも、2つの種族の押し方は違います。オークは一体ずつの力が高く、レベル2のオーク斧戦士は力4です。オーク戦鼓兵は、パーティにオークが2体以上いると、オーク全員の力を3上げます。そして長のオーク大族長は、自分のパーティのオーク1体を差し出す代わりに、相手の1体を生命力に関係なく破棄します。仲間を犠牲にしてでも一撃で決める、重い一手です。
アントは数の種族です。ワーカー・アント、シールド・アント、スカイ・アントの3種は、ふつうは同じカード3枚までのデッキに何枚でも入れられます。長のマザー・アントは、パーティにいるアントの数だけ自分の力を2ずつ上げ、プリンス・アントはアントが2体以上いれば相手に4ダメージを与えます。一体一体は力1〜2の小さな蟻でも、群れになると数字が跳ね上がります。
アプリで遊べる物語の第1話では、住む土地を失ったオークの一族が、新しい土地を求めて海辺のシーマンの村へやってきます。プレイヤーが最初に戦う相手は、この力の一族です。
水:魔法を、つなぐ
水の属性は「魔法を、つなぐ。」。水の者は魔法の器を持って生まれる、という設定です。この器にあたるのがスペル枠です。魔法カードを使うには、魔法と同じ属性のスペル枠を、魔法の重さと同じ数だけ自分のパーティから出す必要があります。つまり、火の魔法は火のスペル枠がなければ使えません。属性に相性がない代わりに、属性は「どの魔法を使えるか」を決めています。
水のモンスター14体が持つスペル枠は合わせて21個です。火は9個、土は11個、風は11個なので、ほぼ倍あります。レベル1の水のモンスターは、例外なく全員が水のスペル枠を1つずつ持っています。魔法カードも、全18枚のうち水が6枚と、いちばん多い属性です。
シーマンは魔法で支え、リザードマンは竜と組む
シーマンは5枚で生命力の合計が14と、8種族でいちばん倒れにくい一方、力は控えめです。5枚すべてが、本陣からではなく戦場へ直接駆けつけられる「即時召喚」を持っています。長のシーマン真珠王は、パーティのシーマン全員に速さ1と水のスペル枠1つを配ります。
リザードマンは、同じ水でも前に出る種族です。リザードマン軍旗長はリザードマン全員の力を3上げ、リザードマン竜騎兵は、パーティにドラゴンがいれば自分の力と速さを2ずつ上げます。長のオーフェンは、リザードマン全員の生命力を5も上げる代わりに、速さを2下げます。
土:倒れず、支える
土の属性は「倒れず、支える。」。土の者は誰より打たれ強い、という設定です。私は土のカード12種の生命力を1ずつ上乗せしました。さらに土には、戦闘のあいだパーティ全員の生命力を上げる能力が集まっています。ピラー・ジャイアントは2、背界竜アースは4、モス・ドレイクは1、パーティ全員の生命力を上げます。
その代わり、土は遅い属性です。土のモンスター14体の速さを合計すると−12です。火は+1、水は−3なので、土だけが大きく後ろへ傾いています。先に攻撃するかどうかは、サイコロ1個にパーティ全員の速さを足して決まるので、土のパーティは後から攻撃を受け止める戦い方になりがちです。
ドワーフは重く、ゴブリンは身軽
ドワーフは冒頭に書いたとおり、5枚すべてが速さ−1です。そのかわり5枚の力の合計は13で8種族でいちばん高く、生命力の合計も13とシーマンに次ぐ高さです。ドワーフ鍛冶職人は相手のパーティ全員に2ダメージを与え、長のドワーフ巌窟王は、ドワーフ全員の生命力を2上げます。
ゴブリンは、同じ土とは思えないほど身軽です。5枚すべてが即時召喚を持ち、スペル枠は1つも持っていません。そのかわりゴブリン呪詛師がいる戦闘では、敵味方どちらも魔法カードを使えなくなります。魔法に頼らない種族が、魔法そのものを封じるわけです。長のゴブリン根王は、ゴブリン全員の速さを1上げます。遅い土の中で、ゴブリンだけが速さを分けてもらえる種族です。
ドワーフとゴブリンが伝承の中でどう生まれたかは、ドワーフとゴブリンの由来で詳しく書きました。
風:風よりも速く
風の属性は「風よりも速く。」。風の者はその羽で誰よりも速い、という設定です。土とは正反対に、風のモンスターの速さを合計すると+17になります。背界王スカイは速さ+3、バードマン翼将やニンバス・ジャイアントは+2です。先に動ければ、相手が攻撃する前に倒してしまえます。
バードマンは速く、ハーピィは強い
バードマンは8種族でいちばん速い種族で、5枚の速さを合計すると+5になります。一体ずつの力は1〜2と小さいのですが、バードマン風読師はバードマンが2体以上いれば、相手の先頭に2ダメージを与えます。長のバードマン翼将は、バードマン全員に風のスペル枠を1つずつ配ります。スペル枠の少ない種族に、魔法の器を足す長です。
ハーピィは、同じ翼の種族でも力と生命力で戦います。5枚の力の合計は12、生命力の合計も12で、バードマンよりどちらも高い数字です。絶唱のハーピィは、ハーピィが2体以上いれば相手のパーティ全員に2ダメージを与えます。長のハーレクインは、ハーピィ全員の速さを2上げます。
オークやハーピィ、バードマンなどの種族が伝承でどう生まれたかは、ゲームの6種族はどこまで本物の神話かにまとめています。
属性は数字を、種族は仲間を決める
ここまで見てくると、属性と種族の役割の違いが見えてきます。属性は、カードの数字の癖と、使える魔法を決めます。種族は、誰と同じパーティに入ると強くなるかを決めます。8つのうち6つの種族に「同じ種族が2体以上いれば」効く能力があり、各種族のロードは、自分の一族にだけ力や速さを配ります。そしてロードが配るものは、オーフェンのように強みをさらに伸ばすこともあれば、ゴブリン根王やバードマン翼将のように、属性の弱いところを埋めることもあります。
| 種族(属性) | 数字の癖 | そろえると |
|---|---|---|
| オーク(火) | 一体ずつの力が高い | 戦鼓兵で力が上がる→大族長が仲間を差し出して一撃で破棄 |
| アント(火) | 一体は小さいが、何枚でも入るカードがある | 数が増えるほど→マザー・アントの力が伸びる |
| シーマン(水) | 生命力が高く、全員が即時召喚 | 真珠王が速さとスペル枠を配る→魔法をつなぐ |
| リザードマン(水) | 水の中では力が高い | 軍旗長で力が上がる→ドラゴンと組めば竜騎兵が速くなる |
| ドワーフ(土) | 全員が速さ−1、力は8種族で最高 | 巌窟王で生命力が上がる→後から受け止めて殴り返す |
| ゴブリン(土) | 全員が即時召喚、スペル枠なし | 根王で速さが上がる→呪詛師で魔法を封じる |
| バードマン(風) | 8種族でいちばん速い | 翼将がスペル枠を配る→先に動いて魔法を撃つ |
| ハーピィ(風) | 風の中では力と生命力が高い | ハーレクインで速さが上がる→絶唱で全体に攻撃 |
相性がないからこそ、勝ち負けは「何の属性か」ではなく「誰と組んだか」で決まります。同じ種族で固めて能力を最大まで引き出すか、別の属性を混ぜて足りない数字を補うか。その選び方が、デッキの個性になります。
あなたの旅団は、誰と組むか
私が制作したカードゲーム『背界の旅団』では、ここで紹介した8つの種族と、どの属性にもいるドラゴンやジャイアントなどのモンスター、魔法カードから30枚を選んで、自分の旅団を組みます。火の群れで押すか、水の魔法をつなぐか、土で倒れずに受け止めるか、風で先に動くか。
4つの属性と8つの種族を組み合わせた、あなただけの旅団を、アプリで遊べます。
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