『背界の旅団』に登場するモンスターのうち、レベル4のカードは4枚しかありません。
その4枚はすべて竜で、すべてがいちばん上のレア度「極レア」です。
そしてこの4体の竜は、盤面にある「沼」という土地へは、一歩も入れません。
私が制作したカードゲーム『背界の旅団』の世界では、人々が立っている大地そのものが、眠る巨竜の背中です。その大地の竜が、カードとして戦場に出てくる。名前に「背界」を持つ4体の竜は、どんなカードになっているのでしょうか。そして大地そのものであるはずの竜が、なぜ盤面の上では入れない土地を持つのでしょうか。4枚のカードの数字と、竜の背の上の世界の見え方から、この問いをたどります。
この記事で分かること
- 大地の竜は、ゲームでいちばん重い:レベル4は全モンスターの中でこの4体だけで、置ける土地まで限られます。
- 4体は、属性の特徴をそのまま大きくした姿:火の竜は全カードで最も力が強く、風の竜は最も速い。属性の持ち味が、竜で極まっています。
- 竜の背には、小さな竜も暮らしている:大魔道士の手記には、人と一緒に旅をする幼い竜の姿が書かれています。
大地は、眠る巨竜の背中
『背界の旅団』の世界には、ふつうの意味での地面がありません。この世界の大地は、眠っている巨大な竜の背中です。人々はその背に国を築き、一族ごとに旗を掲げて、旅団長(一族の軍を率いる長)どうしの戦いを重ねてきました。旗をめぐる習わしと物語の始まりについては、背界の旅団の世界とはで詳しく書きました。
竜の背の上といっても、そこにあるのは岩ばかりの荒れ地ではありません。物語の第1話「初陣」は、海辺にあるシーマン(海に暮らす魚人の一族)の村「潮鳴りの村」から始まります。村の近くには浜があり、潮が満ち引きし、火床という土地を失ったオークの一族が、その浜へ上がってきます。第1話の終わりで主人公が呼ばれる都は、海の上にあります。竜の背の上には、海も浜も、村も都もある。そこに住む人々にとっては、竜の背が世界のすべてです。
ゲームの盤面も、この世界の上にあります。対戦の盤面には、道・沼と並んで「背界」という名前の土地が置かれます。プレイヤーが部隊を進める土地の一つひとつが、竜の背のどこかだという見立てです。
名前に「背界」を持つ4体の竜
大地そのものである竜も、カードとして登場します。火・水・土・風の4つの属性に1体ずつ、名前に「背界」を冠した竜がいます。
- 背界王ヴォルケーノ:火の属性の竜。
- 背界竜アイランド:水の属性の竜。
- 背界竜アース:土の属性の竜。
- 背界王スカイ:風の属性の竜。
名前をよく見ると、付け方が2通りあります。アイランドとアースは「背界竜」、ヴォルケーノとスカイは「背界王」です。英語の名前もそれぞれ、火山、島、大地、空を表す言葉になっています。
4体とも、レア度は極レアです。『背界の旅団』のレア度はコモン、アンコモン、レア、極レアの4段階で、極レアはいちばん上の段にあたります。大地そのものの竜は、どれもめったに手に入らないカードです。
レベル4は、この4体だけ
『背界の旅団』のモンスターには、1から4までのレベルがあります。レベルはそのモンスターの格の大きさで、高いほど一体で多くのことができます。カードの数でいえば、レベル1や2のモンスターが大半で、巨人のジャイアントがレベル3。そしてレベル4は、全モンスターの中でこの4体の竜だけです。
ところが、レベルが高いことは、良いことばかりではありません。『背界の旅団』の盤面では、土地ごとに「入れるモンスターのレベルの合計」に上限があります。土地のカードの右上にある丸い数字がその上限です。
竜を最初に呼び出す自分の本陣は、上限が5です。レベル4の竜を置くと、残りは1。同じ本陣に一緒にいられるのは、レベル1の仲間が1体だけです。大地の竜を呼ぶということは、そのぶん他の仲間の居場所を譲るということでもあります。
4体の戦い方は、属性の持ち味を極めた姿
『背界の旅団』の4つの属性には、それぞれ得意なことがあります。火は力が強く、水は魔法の器(魔法を使うための枠)を生まれつき持ち、土は打たれ強く、風は誰よりも速い。4体の竜は、この持ち味をそれぞれ極端なところまで伸ばしたカードになっています。属性と種族の違いは背界の旅団の4属性と8種族で解説しています。
火の背界王ヴォルケーノ:誰より強い力
ヴォルケーノの力(攻撃の強さ)は10です。全モンスターの中で最も高く、2番目のカードでも6にとどまります。さらに「熔岩のブレス」という能力で、相手の1体を選んで6のダメージを与えます。この能力には、相手が割り込んで打ち消す「対抗」ができません。その代わり、生命力は4です。
水の背界竜アイランド:相手の動きに応える力
アイランドは、水の魔法を使う枠を2つ持っています。能力「深海の再生」は、相手の宣言に応えて使う対抗の能力です。相手のパーティ(同じ土地で一緒に戦う仲間の組)の全員の力を3下げ、力が0以下になった相手を破棄します。自分から攻めるより、相手の一手を待って返す竜です。
土の背界竜アース:仲間を支える力
アースの能力「大陸の守護」は、戦闘のあいだ自動で働きます。自分のパーティの全員の生命力を4増やします。アース自身の生命力は3ですが、一緒に戦う仲間全員を打たれ強くします。速さはマイナス3で、全モンスターの中で最も遅い組に入ります。動きは重くても、足もとの全員を支える。まさに大地のような竜です。
風の背界王スカイ:誰より速い翼
スカイの速さはプラス3で、全モンスターの中で最も速い1枚です。速さは、戦いでどちらが先に動けるかを決めるときに足される数字です。能力「裂空のブレス」は相手のパーティの全員に3のダメージを与え、風の魔法を使う枠も3つ持っています。先に動いて、相手の全員をまとめて削る竜です。
大地の竜でも、入れない土地がある
ここで冒頭の問いに戻ります。大地そのものの竜が、なぜ盤面の上では入れない土地を持つのでしょうか。
『背界の旅団』の盤面は、両軍の本陣と6つの土地を合わせた8マスです。6つの土地には、対戦が始まるたびに、道が3枚、背界が2枚、沼が1枚、ランダムに並べられます。土地ごとの上限は次のとおりです。
| 土地 | 入れるレベルの合計 | レベル4の竜は |
|---|---|---|
| 本陣 | 5 | レベル1の仲間を1体だけ連れていられる |
| 背界 | 5 | レベル1の仲間を1体だけ連れて進める |
| 道 | 4 | 竜が1体だけで進める |
| 沼 | 3 | 入れない |
上限は、土地の広さや足場のようなものです。レベル4の竜は格が大きすぎて、上限3の沼には入る余地がありません。道へは1体だけで進めますが、仲間は連れて行けません。仲間と一緒に竜を前へ出せるのは、同じ名前を持つ「背界」の土地だけです。竜の背の上では、竜のための広い足場は限られています。
強いカードほど、置き場所と連れて行く仲間を選ばなければならない。この考え方は、私が子どもの頃に遊んだカードゲーム『モンスターコレクション』の「リミット」から受け継いだものです。詳しくはモンスターコレクションの進軍とはに書きました。大地の竜は、盤面の上ではいちばん強く、いちばん動かしにくいカードです。だからこそ、どの土地を通って竜を前線へ運ぶかが、一手の重さになります。
竜の背には、小さな竜も暮らしている
竜の背の上に住んでいるのは、人の一族だけではありません。カードには、レベル2の小さな竜「ドレイク」も、4つの属性に1体ずつ登場します。火のファイア・ドレイク、水のタイダル・ドレイク、土のモス・ドレイク、風のゲイル・ドレイクです。
ドレイクのカードに添えられた短い文章(フレーバーテキスト)は、物語の案内役である大魔道士エリンゲの手記として書いています。水のタイダル・ドレイクの手記では、幼竜が拾ってきた貝を並べ、エリンゲが一番小さい貝を返すと、代わりに一番大きい石をくれます。風のゲイル・ドレイクの手記では、翼を乾かす幼竜の横でコートを広げたところ、「その後、あのコートが見つかることはなかった」。火のファイア・ドレイクの手記では、宿の主人に「竜は外へ」と言われています。
大地の竜の背の上で、小さな竜は人と同じ宿に泊まり、旅の道連れになっている。大きな竜は足もとの世界そのもので、小さな竜はそこで暮らす仲間です。同じ「竜」でも、この世界での見え方はまったく違います。
火を吐く、翼で飛ぶといった竜そのもののイメージが、神話や物語の中でどう生まれてきたかは、ドラゴンの由来とはでたどっています。
世界の大きさが、カードの重さになる
4体の背界の竜を、世界の設定とカードの姿で並べると、次のようになります。
| 世界の設定 | カードでの姿 |
|---|---|
| 大地そのものである竜 | 全モンスターで4体だけのレベル4、全員が極レア |
| 竜はあまりに大きい | 本陣でも背界でも、連れて行ける仲間はレベル1が1体だけ |
| 竜の背の上に、広い足場と狭い足場がある | 上限5の背界には入れても、上限3の沼には入れない |
| 火の竜ヴォルケーノ | 全モンスターで最も高い力10 |
| 水の竜アイランド | 相手の宣言に応えて、相手全員の力を下げる |
| 土の竜アース | 仲間全員の生命力を増やして支える |
| 風の竜スカイ | 全モンスターで最も速い速さ+3 |
| 背の上で人と暮らす小さな竜 | 4つの属性のレベル2のドレイク |
世界の中で竜が大きいことが、そのままカードの重さになっています。強いけれど、どこへでも行けるわけではない。大地の竜をどう戦場へ運ぶかを考えることは、竜の背の上の世界を歩くことでもあります。
竜の背を、旅団で進む
私が制作したカードゲーム『背界の旅団』は、プレイヤーが旗を託された旅人となって、眠る巨竜の背中の世界を進んでいくゲームです。カードから30枚を選んで旅団を組み、背界の竜を入れるなら、その竜をどの土地から前へ出すかまで考えることになります。詳しくは背界の旅団の公式サイトをご覧ください。
4体の背界の竜も、竜の背の上の物語も、iPhoneのアプリで遊べます。
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