モンコレの戦いでは、宣言しただけでは、まだ何も起きません。
効果が出るのは、全員が手を止めてから。それも、最後に出した一手からです。
だから最後に1枚足されるだけで、勝ち負けがひっくり返ります。
1997年に出たカードゲーム『モンスターコレクション』(モンコレ)の戦いは、相手の一手に一手を返し、さらにそれへ返す応酬でした。ここではそれを「対抗合戦」と呼びます。なぜ最後まで結果が分からないのか。その仕組みと、そこから生まれる読み合いを見ていきます。
この記事で分かること
- 後から出した手ほど先に効く:宣言を積み上げてから、最後の宣言から順に解決します。
- 魔法は仲間がいないと撃てない:手札に魔法があっても、使える仲間が戦場にいなければ撃てません。
- 先攻と後攻で役割が違う:同じ割り込みのカードでも、先に動くか後に動くかで価値が変わります。
宣言を積み上げて、逆から解く
モンコレの戦いでは、サイコロで先に動く側(先攻)と後に動く側(後攻)を決めてから、それぞれの番に攻撃や魔法、モンスターの能力を使います。自分の番に自分から始められるのが[普通]の行動です。もう一つ、[対抗]と書かれた能力や魔法があります。これは自分からは使えず、相手が何かを宣言したときにだけ、割り込んで使えます。
- 一方が攻撃や能力を宣言する。
- 相手は、それに[対抗]で割り込める。
- 割り込まれた側も、さらに[対抗]で返せる。
- 両方が手を止めたら、最後に宣言したものから順に、一つずつ効果が出る。
大事なのは、宣言しただけではまだ何も起きないことです。効果が出るのは全員が手を止めた後で、しかも後から積んだ一手が先に効きます。つまり、最後の一手を握っている側が、全体の結末を書き換えられるのです。
架空の一戦で見る対抗合戦
架空の場面で追ってみます(カード名と効果は、この記事のための作り話です)。私が先攻で、私の部隊は「炎の剣士」と「槍の兵士」。炎の剣士は、火の魔法を1回使えます。相手の部隊は「水の術師」と「盾の守り手」で、水の術師の防御力は3です。
| 順 | 宣言した側 | 宣言の内容 |
|---|---|---|
| 1 | 私 | まだ動いていない2体で攻撃を宣言 |
| 2 | 相手 | 水の術師が[対抗]の魔法「凍える霧」。私の部隊の攻撃力を下げる |
| 3 | 私 | 炎の剣士が[対抗]の魔法「火矢」。水の術師に3ダメージ |
| 4 | 相手 | 盾の守り手が[対抗]の能力「かばう構え」。水の術師の防御力を上げる |
ここで両方が手を止め、最後の宣言から順に効いていきます。
- まず4の「かばう構え」。水の術師の防御力が上がる。
- 次に3の「火矢」。3ダメージでは、守りを固めた水の術師を倒せない。
- 次に2の「凍える霧」。私の部隊の攻撃力が下がる。
- 最後に1の攻撃。下がった攻撃力で相手の部隊を攻撃する。
もし4がなければ、3の火矢が先に効いて、水の術師は倒れていました。宣言の順番は同じでも、最後に1枚足されただけで結果がひっくり返る。この「最後の一手」の重さが、対抗合戦の面白さです。
何を残すか:見えない手札
相手の手札は見えません。だから攻撃を宣言する前に、「相手はまだ割り込みのカードを持っているか」を、手札の枚数やそれまでの動きから推し量ります。
自分の側も同じです。強い割り込みをいきなり使うと、相手にもう一段返されたときに手が尽きます。逆に温存しすぎると、何もできずに攻撃を通される。最後に置きたい1枚を、最後まで隠しておけるかどうかが腕の見せどころでした。
いつ使うか:魔法は仲間がいないと撃てない
戦いで使う魔法は、モンスターが持つ「スペル枠」を使わないと撃てません。スペル枠には火・水などの属性があり、どの属性の魔法を何回使えるかが決まっています。使った枠が戻るのは戦いの区切りです。つまり、1回の戦いで撃てる魔法の数は、その戦場にいる仲間で決まります。
さっきの例で、私が炎の剣士の枠を「火矢」に使った時点で、この戦いではもう火の魔法を返せません。相手が4を出してきたとき、私に打つ手が残っていなかったのはそのためです。魔法を手札に持っていることと、それを撃てることは別の話なのです。
小学生の私は「僕のデッキに魔法は不要なんだ」と誓っていました。今ルールを読み直すと、魔法を入れないことは、この読み合いの片側を最初から手放すことでもあったのだと分かります。
先攻と後攻で、割り込みの意味が変わる
先攻は、自分の番に能力を使い、それから攻撃を宣言します。まだ動いていないモンスターがいる限り、攻撃は必ず宣言しなければならず、動いていない仲間全員で攻撃します。
後攻は、先攻の番のあいだ、自分からは動けません。できるのは、先攻の宣言に割り込むことだけです。先攻の攻撃でモンスターが倒されれば、そのモンスターは自分の番を迎えられません。だから後攻にとって、最初の攻撃への割り込みは守りそのものです。一方の先攻は、相手の割り込みを引き出してから本命を通す、という順番を組み立てられます。同じカードでも、先攻で持つか後攻で持つかで価値が変わるのです。
マジック・遊戯王・デュエマとの違い
マジック:ザ・ギャザリングの「スタック」
宣言を積み上げて上から解決する考え方は、1993年にアメリカで生まれたカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』にもあり、「スタック」と呼ばれます。マジックでは、積まれた一番上の1つが解決するたびに手番が戻り、残りが解決される前に新しい手を差し込めます。
モンコレでは、宣言がいったん締め切られると、積まれた分を最後まで一気に解決します。途中で新しい手を挟む余地はありません。そのぶん、締め切るまでの応酬にすべてが詰まっています。「ここで手を止めたら、もう返せない」という緊張感が、対抗合戦の味です。
遊戯王の「チェーン」
『遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム』(遊戯王OCG。漫画『遊☆戯☆王』に登場するカードゲームを、作品の設定に基づいて形にしたもの。1999年2月から発売)にも同じ考え方があり、「チェーン」と呼ばれます。カードの効果が発動すると、相手は必ずチェーンするかどうかを問われます。相手が返せば、こちらもさらに返せる。両方が手を止めたら、最後に発動したものから順に処理します。相手が返さなかったときは、自分の発動に自分で重ねることもできます。
遊戯王では、重ねられるかどうかを「スペルスピード」という速さで決めます。通常魔法のような速さ1のカードは、ほかの発動に重ねられません。いちばん速いカウンター罠に返せるのは、同じ速さのカードだけです。モンコレの架空の一戦と同じく、遊戯王でも「最後の1枚」がすべてを変えます。たとえば「サイクロン」に「マジック・ジャマー」を重ね、さらに「盗賊の七つ道具」を重ねると、最後の七つ道具が先に効いてマジック・ジャマーを無効にし、最初のサイクロンはそのまま効きます。
デュエル・マスターズは積み上げない
『デュエル・マスターズ』(2002年5月に第1弾が出た、タカラトミーのカードゲーム。デュエマ)は、宣言に宣言を重ねて逆から解く形をとっていません。いくつかの効果が同時に起きたときは、まずシールドから使われる「S・トリガー」の効果を、次にターン中のプレイヤーの効果を、それから相手の効果を、それぞれ自分で選んだ順に解決します。効果がいつ起きたかの順番は関係ありません。後から出した手ほど先に効く、という対抗合戦の逆転は、ここでは起きないのです。
| ゲーム | 呼び名 | 重ね方 | 解決の順番 |
|---|---|---|---|
| モンコレ | 対抗 | 相手の宣言に[対抗]で割り込む | 締め切ったら、最後の宣言から一気に |
| マジック | スタック | 積まれた上に新しい手を差し込む | 一番上から1つずつ。解決のたびに新しい手を差し込める |
| 遊戯王 | チェーン | 発動のたびに相手が返せる。速さで重ねられる札が決まる | 両方が止めたら、最後の発動から |
| デュエマ | (積み上げない) | 同時に起きた効果は待機する | S・トリガー、ターン中のプレイヤー、相手の順。各自が好きな順に |
最後まで結果が分からない理由
| 仕組み | そこから生まれる読み合い |
|---|---|
| 宣言を積み、最後の宣言から効く | 最後の一手を誰が握るか |
| 相手の手札は見えない | 相手にまだ返す手があるかを推し量る |
| 魔法はスペル枠でしか撃てない | 枠を最初に使うか、最後まで取っておくか |
| 後攻は割り込むことしかできない | 先攻は順番を組み立て、後攻は守りの一手を残す |
| 締め切ると最後まで一気に解決 | 「ここで止めたらもう返せない」の見極め |
『背界の旅団』は対抗をどう取り入れたか
私が制作したカードゲーム『背界の旅団』でも、戦いの中心は対抗です。スマートフォンで迷わず遊べるように、形を少し整えました。
- 対抗は、直前に相手がした宣言にだけ返せます。宣言は必ず敵味方が交互に積み上がります。
- 自分の直前の宣言に、自分で対抗することはできません。相手が返してきたら、それに再び返すことはできます。能力・カード・スペル枠が残る限り、何度でも応酬が続きます。
- 宣言が出尽くしたら、最後に積んだものから逆順に解決します。
- 普通/対抗の能力を宣言すると、そのモンスターの行動を使います。打ち消されても戻りません。能力を使ったモンスターは攻撃に加われません。
- 魔法は、重さと同じ数だけ同じ属性のスペル枠を宣言時に使います。打ち消されても枠は戻らず、戦闘が終わると回復します。
- 攻撃とそれへの対抗をすべて解決したら、その側の番は終わります。攻撃のあとにもう一度能力を使う時間は設けていません。
手札に何を残すか、スペル枠をいつ使うか、先攻か後攻か。あの頃に夢中になった読み合いを、今の遊び方で味わえるようにしています。詳しくは『背界の旅団』の公式サイトをご覧ください。
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