ポケモンカードゲームでは、ベンチに逃げても、受けたダメージは残ったままです。
マジック:ザ・ギャザリングでは、どれだけ傷ついたクリーチャーも、ターンが終われば元どおりです。
そして遊戯王やデュエル・マスターズのモンスターには、そもそもダメージがたまりません。
モンスターが戦って生き残ったとき、受けた傷は次の戦いまで残るのか。それとも消えるのか。ルールブックの片隅にある決まりですが、これ一つで「回復」に意味があるか、ケガをした仲間を下げるか、1回の戦いで倒しきる必要があるかが、まるで変わります。6つのカードゲームの公式ルールで比べてみます。
この記事で分かること
- ダメージの扱いは3通り:ずっと残るゲーム、番の終わりに消えるゲーム、そもそもたまらないゲームがあります。
- 消えるゲームでも、同じ番なら足し算できる:マジックでは、戦闘のダメージと呪文のダメージを合わせて倒せます。
- 背界の旅団は、戦いごとに元へ戻す:はじめは傷を持ち越していましたが、戦いが終わるたびに生命力を戻す形に変えました。
ポケモンカード:ダメージは、逃げても残る
ポケモンカードゲームでは、ワザで受けたダメージは「ダメカン」(ダメージカウンター。1個で10ダメージ)としてポケモンの上にのり、HP(体力)の分だけたまると「きぜつ」します。このダメカンは、時間がたっても消えません。
「にげる」でバトル場からベンチへ下げても、のっているダメカンはそのままです。一方で、どく・まひなどの特殊状態は、にげたり進化したりすると治ります。ダメカンを取り除けるのは、「HPを回復する」と書かれたカードや特性だけです。
だからポケモンカードでは、傷ついたポケモンを下げて別のポケモンで戦い、回復してからまた出す、という動きに意味があります。相手の側から見れば、一度で倒しきれなくても、削っておいたダメージは次の番にも生きています。
なお、デジタルのカードゲーム『ハースストーン』も、ミニオン(場に出すキャラクター)が受けたダメージは自然には回復せず、回復の効果で戻るまで残ります(公式の説明ではなく、遊ぶ人たちのまとめで確かめた内容です)。
マジック:その番のうちだけ、ダメージがたまる
マジック:ザ・ギャザリング(1993年にアメリカで生まれたトレーディングカードゲーム)の総合ルールでは、クリーチャーが受けたダメージは、受けた量だけクリーチャーに「置かれ」ます。置かれたダメージの合計がタフネス(耐久力)以上になると、そのクリーチャーは破壊されます。
ただし、置かれたダメージは、ターンの最後の「クリンナップ・ステップ」ですべて取り除かれます。生き残りさえすれば、次のターンには無傷です。
この決まりから、マジックでは「同じターンのうちに倒しきる」ことが大事になります。タフネス4のクリーチャーに戦闘で3ダメージを与えても、そのままでは翌ターンに元どおり。けれど同じターンのうちに1点の呪文を足せば、合計4で倒せます。ダメージは消えるけれど、その番の中では足し算できる。これがマジックの形です。
遊戯王・デュエマ・ONE PIECE:比べるだけで、たまらない
遊戯王オフィシャルカードゲーム(遊戯王OCG)のモンスターには、ダメージを記録する決まりがありません。戦闘では、攻撃する側の攻撃力と、相手の攻撃力(守備表示なら守備力)を比べるだけです。攻撃表示どうしなら、低い方が破壊され、差がそのプレイヤーのライフから引かれます。守備表示の相手に届かなければ、どちらも破壊されず、差の分を攻めた側が受けます。ダメージを受けるのはいつもプレイヤーのライフで、モンスターには何も残りません。
デュエル・マスターズ(タカラトミーが発売しているトレーディングカードゲーム。デュエマ)も、クリーチャーどうしの戦いは「バトル」というパワーの比べ合いです。パワーの低い方が負けて破壊され、同じなら両方が破壊されます。総合ゲームルールの中に「ダメージ」という言葉は一度も出てきません。
ONE PIECEカードゲーム(漫画『ONE PIECE』のカードゲーム)も、パワーの比べ合いです。アタックした側のパワーが相手以上なら勝ち、相手がキャラクターならKO(退場)させます。届かなければアタックした側の負けですが、そのバトルでは何も起きず、アタックしたキャラもそのまま残ります。ダメージを受けるのはリーダー(プレイヤーの分身)だけで、1ダメージごとにライフのカードが1枚手札へ移ります。
この3つのゲームでは、1回の比べ合いで「倒れるか、無傷か」が決まります。中途半端に傷ついたモンスターは場にいません。
モンコレ:1回の攻撃で、防御力を超えるか
1997年に出た国産のカードゲーム『モンスターコレクション』(モンコレ)では、モンスターに「防御力」という数値があります。総合ルールでは、防御力は「どれだけのダメージを受けると死亡するか」を表す数で、防御力以上のダメージを受けたモンスターは死亡します。
モンコレの戦いは、先に攻撃する側と後に攻撃する側が1回ずつ攻撃して終わります。総合ルールには、生き残ったモンスターにダメージを記録しておく決まりも、それを取り除く決まりもありません。戦いの終わりに元へ戻るのは、魔法を使うための「スペルの枠」や、戦いの中だけの能力の効果です。生き死には「1回の攻撃で、防御力以上のダメージを受けたか」で書かれていて、傷を次の戦いへ持ち越す仕組みは見当たりません。
6つのゲームを並べると
| ゲーム | モンスターの受けたダメージ | そこから生まれる判断 |
|---|---|---|
| ポケモンカードゲーム | ずっと残る(回復の効果で取り除く) | 傷ついたポケモンを下げる、回復する、削っておく |
| マジック:ザ・ギャザリング | その番のうちはたまり、番の終わりに消える | 同じ番のうちに戦闘と呪文を合わせて倒しきる |
| 遊戯王OCG | たまらない(攻撃力と守備力を比べる) | 1回の比べ合いで勝てる相手を選ぶ |
| デュエル・マスターズ | たまらない(パワーを比べる) | 1回の比べ合いで勝てる相手を選ぶ |
| ONE PIECEカードゲーム | たまらない(パワーを比べる) | 届かないアタックは何も起きない |
| モンスターコレクション | 1回の攻撃で防御力を超えるかで決まる | 1回の攻撃で倒しきれる量を集める |
ダメージが残るゲームでは、時間をかけた削り合いと回復が生まれます。残らないゲームでは、一度の戦いで決めきるための足し算が生まれます。どちらが良いというより、どんな戦いを見せたいかの選択です。
『背界の旅団』は、はじめは傷を持ち越していた
私が制作したカードゲーム『背界の旅団』も、はじめはポケモンカードに近い形でした。戦いで減った生命力は、生き残っても次の戦いまで減ったまま。そのために、進軍したときに生命力を戻す能力や、最大まで戻す回復の魔法も用意していました。
2026年9月、これをやめました。今は、戦いが終わるたびに、両軍の生き残った全員が元の生命力まで戻ります。勝っても、攻めきれずに退いても、同時に攻撃し合っても同じです。倒れたモンスターは戻りません。回復の能力と魔法はなくし、代わりに「戦いの中だけ生命力を上げる」強化の能力と魔法に置き換えました。上げた分は、戦いが終わると元に戻ります。
戦いの中では、ダメージはマジックと同じく足し算です。魔法や能力で与えたダメージと、パーティの攻撃のダメージは、同じ戦いのうちならすべて合わさります。先に鍛冶職人の2ダメージを全員に入れておき、攻撃で残りを削りきる。そんな組み立てが、1回の戦いの中に収まります。
戦いごとに元へ戻すと、盤面に並ぶモンスターは、いつも書かれたとおりの生命力で次の戦いに臨みます。どの仲間がどれだけ傷ついているかを覚えておく必要はなく、カードを見れば強さが分かる。そして攻める側は、一度の戦いで倒しきれなければ、相手は元どおりに立ち直ります。だからこそ、誰を連れて攻め込み、どの魔法をいつ切るかが重くなります。詳しくは『背界の旅団』の公式サイトをご覧ください。
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