マジック:ザ・ギャザリングでは、相手のクリーチャーを攻撃することはできません。
デュエル・マスターズでは、休んでいる(タップしている)相手のクリーチャーしか攻撃できません。
そしてモンスターコレクションでは、どの敵と戦うかを選ぶ手順そのものがありませんでした。
カードゲームで攻撃するとき、こちらのモンスターが相手のどのモンスターとぶつかるのか。この一点を「攻める側が決める」か「守る側が決める」か「並び順で決まる」かで、同じ殴り合いでも読み合いの形がまったく変わります。6つのカードゲームの公式ルールを並べて、その違いを見ていきます。
この記事で分かること
- 守る側が選ぶゲームがある:マジックでは攻める側はプレイヤーを攻撃するだけで、誰で止めるかは守る側が決めます。
- 攻める側が選ぶゲームは、狙える相手を絞っている:デュエマやONE PIECEは、休んでいる相手しか狙えません。
- 並び順で決まるゲームもある:モンコレでは、戦う前に並べた隊列の前から順にダメージが入りました。
マジック:攻めるのはプレイヤー、止めるのは守る側
マジック:ザ・ギャザリング(1993年にアメリカで生まれたトレーディングカードゲーム)の総合ルールでは、攻撃できる先は守る側のプレイヤーと、そのプレイヤーの一部の特別なカード(プレインズウォーカーとバトル)だけです。クリーチャーは攻撃先の一覧に入っていません。攻める側は「このクリーチャーで、あの人を攻撃する」と宣言するだけで、相手のどのクリーチャーと戦うかは決められないのです。
戦う相手を決めるのは守る側です。守る側は、攻撃してきたクリーチャーを見てから、自分のどのクリーチャーで、どの攻撃をブロック(受け止める)するかを選びます。ブロックしなければ、ダメージはそのままプレイヤーへ届きます。
この形では、守る側が有利になります。マジックの主任デザイナー、マーク・ローズウォーターは、守る側が攻撃に合わせてブロックを選べるので守りが強く、ゲームが膠着しやすいと書いています。空を飛ぶクリーチャーは空を飛ぶものにしか止められない「飛行」のように、ブロックをすり抜ける能力が数多くあるのは、その膠着を破るためです。
1体の攻撃を何体もでブロックしたときは、攻める側がダメージの割り振りを決めます。以前は、ブロックされた時点でブロッカーに順番を付け、前の1体を倒す分を割り振らないと次へ回せませんでした。この順番の規則は、2024年11月の『ファウンデーションズ』で廃止されています。細かい規則を知らないだけで損をするのを防ぐためです。
遊戯王OCG:攻める側が、相手を選ぶ
遊戯王オフィシャルカードゲーム(遊戯王OCG)はその逆です。バトルフェイズ(モンスターで攻撃する段階)では、攻める側が自分の攻撃表示のモンスターを選び、攻撃する相手のモンスターも選びます。相手の場にモンスターがいなければ、プレイヤーを直接攻撃できます。
守る側に一般のルールとしての「かばう」手段はありません。守りはモンスターの表示形式で作ります。守備表示のモンスターも攻撃されますが、攻撃力と守備力を比べるだけで、守る側のライフは減りません。守備力の方が高ければ、上回った分のダメージを攻めた側が受けます。攻撃を止めたり向きを変えたりするのは、罠カードなど個々のカードの効果の仕事です。
デュエマとONE PIECE:狙えるのは、休んでいる相手だけ
デュエル・マスターズ(タカラトミーが発売しているトレーディングカードゲーム。デュエマ)も、攻める側が攻撃先を選びます。ただし選べるのは、相手プレイヤー(のシールド)か、タップ状態(横向きで、もう行動した状態)の相手クリーチャーだけです。攻撃するとクリーチャーはタップするので、攻撃に出たクリーチャーは、次の相手の番に狙われる側に回ります。
守る側にも手はあります。「ブロッカー」という能力を持つクリーチャーは、攻撃の行き先を自分に変えて受け止められます。攻撃は1体ずつで、何体かでまとめて攻めたり、まとめて守ったりはできません。
ONE PIECEカードゲーム(漫画『ONE PIECE』のカードゲーム)もよく似ています。アタックできる相手は、相手のリーダー(プレイヤーの分身になるカード)か、レスト(横向きで行動済み)の相手キャラクター1枚です。守る側は【ブロッカー】を持つキャラをレストにして、アタックされたカードを自分に変更できます。1回のバトルで使えるのは1度だけです。
2つのゲームに共通するのは、「攻めたら次は狙われる」という順番です。攻める側に選ぶ権利を渡す代わりに、選べる相手を「休んでいる者」に絞り、守る側にはブロッカーで割り込む手を残しています。
ポケモンカード:戦うのは、前に出ている1匹どうし
ポケモンカードゲームでは、選ぶ場面そのものがほとんどありません。ワザを使えるのはバトル場(前に出ている場所)のポケモンだけで、ワザの数字のダメージを受けるのも、相手のバトル場のポケモンだけです。控えのベンチにいるポケモンには、ワザの説明に書いてあるときしかダメージが入りません。
そのかわり、誰が前に出るかを動かす手段がたくさんあります。自分のポケモンは「にげる」で1番に1回、ベンチと入れ替えられます。攻める側は「ポケモンキャッチャー」のように、相手のベンチから狙いたい1匹を選んでバトル場へ引きずり出すカードを使えます。反対に「相手のバトルポケモンをベンチに戻す」効果では、代わりに出すポケモンを選ぶのは守る側です。戦う相手を、カードで奪い合うゲームなのです。
モンコレ:並べた順に、ダメージが入る
1997年に出た国産のカードゲーム『モンスターコレクション』(モンコレ)では、同じ土地にいるモンスターが「パーティ」を組んで戦います。総合ルールでは、攻撃の対象は相手の1体ではなく、相手のパーティ全体です。攻める番が来ると、まだ行動していない味方は全員そろって攻撃し、その攻撃力の合計が、相手のパーティに向かいます。どの敵と戦うかを選ぶ手順はありません。
決め手になるのが隊列です。パーティはカードを重ねて並べ、上に置いたものほど前列になります。戦いの始めには隊列を並べ替える時間があり、まず攻め込んだ側が並べ、それを見てから守る側が並べます。
ダメージの入り方は独特です。攻撃力の合計は、最前列から順に、全員へ同時に届きます。ただし後ろのモンスターほど、前にいる仲間の防御力の分だけ受けるダメージが減ります。前列の防御力が盾になり、後ろへ通る量を削る計算です。たとえば攻撃力の合計が8で、最前列の防御力が5なら、最前列は8、その後ろは3のダメージを受けます。硬いモンスターを前に置くか、倒されたくない者を後ろに隠すか。誰と戦うかを選べない代わりに、誰を前に立たせるかが勝負になっていました。
6つのゲームを並べると
| ゲーム | 戦う相手を決めるのは | 守る側の手段 |
|---|---|---|
| マジック:ザ・ギャザリング | 守る側(ブロッカーを選ぶ) | 攻撃を見てからブロックを選ぶ |
| 遊戯王OCG | 攻める側(相手モンスターを選ぶ) | 守備表示、罠カードなどの効果 |
| デュエル・マスターズ | 攻める側(タップした相手だけ) | ブロッカーで行き先を変える |
| ONE PIECEカードゲーム | 攻める側(レストした相手だけ) | 【ブロッカー】で肩代わり(1バトル1度) |
| ポケモンカードゲーム | 前に出ている1匹どうし | にげる、入れ替えのカード |
| モンスターコレクション | 並び順(パーティ全体が攻撃を受ける) | 攻め手の並びを見てから隊列を決める |
攻める側に選ばせるゲームは、狙える相手を絞るか、守る側に割り込む手を渡しています。守る側に選ばせるゲームは、それをすり抜ける能力を用意しています。どちらに傾けても、もう片方へ手を返す仕組みが必ずついているのです。
『背界の旅団』は、並び順で守る
私が制作したカードゲーム『背界の旅団』は、モンコレの「並び順で決まる」を受け継いでいます。同じ土地にいる仲間はパーティとして一緒に戦い、攻撃はパーティ全員の力の合計です。
戦いが始まると、攻め込んだ側が手札から援軍を呼び出して隊列を決め、それから守る側が援軍を呼んで隊列を決めます。守る側は、相手の並びを見てから自分の並びを選べます。ダメージは相手の隊列の先頭から入り、先頭を倒して余った分は次の1体へ持ち越します。モンコレのように全員へ同時に届くのではなく、前から順に削っていく形にしたのは、スマートフォンの画面で「いま何点入って、誰が倒れたか」をひと目で追えるようにするためです。
隊列を崩す手段は、能力と魔法が担います。「先頭1体」を狙う魔法は前に立つ盾を先に削り、「最後尾」を狙う効果は後ろに隠した仲間へ届きます。大型のモンスターの中には、相手の1体を選んで大きなダメージを与えるものもいます。ただし「先頭1体」「最後尾1体」へのダメージは、倒して余っても次へ持ち越しません。
誰を前に立たせ、誰を後ろに隠すか。そして相手の並びのどこを崩すか。戦う相手を選べないからこそ生まれるこの読み合いを、私は残したいと考えました。詳しくは『背界の旅団』の公式サイトをご覧ください。
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