ONE PIECEカードゲームでは、ライフが0枚になっても、まだ負けではありません。
モンスターコレクションでは、相手のモンスターをどれだけ倒しても、それだけでは勝てません。
そしてマジック:ザ・ギャザリングでは、ライフが20点まるごと残っていても負けることがあります。
カードで仲間を呼び、相手と戦う。遊び方の見た目は、どのカードゲームもよく似ています。それなのに、遊んでみると考えることがまるで違います。その違いの根っこにあるのが「何をしたら勝ちか」という決まりです。勝ち方が変わると、なぜ同じ「カードで戦う」でも遊び方まで変わるのでしょうか。6つのゲームの公式ルールを並べて確かめます。
この記事で分かること
- 倒した数を数えるゲーム:ポケモンカードでは、倒すたびに勝利までの残りが目に見えて減り、どのポケモンで戦うかが「相手に何枚渡すか」の計算になります。
- 最後の一撃が別に要るゲーム:ONE PIECEカードゲームとデュエル・マスターズは、ライフやシールドを削り切った後に、もう一度攻撃を通さないと終わりません。
- 勝ち方を選ぶゲーム:マジックと遊戯王OCGではライフ以外にも勝ち負けの条件があり、デッキごとに狙う勝ち方そのものが違います。
ポケモンカード:倒した数を数える
ポケモンカードゲームは、ポケモンを戦わせて遊ぶ日本生まれのカードゲームです。対戦の準備で、各プレイヤーは自分の山札の上から6枚を、裏向きのまま「サイド」という場所に置きます。
相手のポケモンを「きぜつ」させる、つまり倒すと、倒した側は自分のサイドを取って手札に加えます。そして、先に自分のサイドを全部取ったプレイヤーが勝ちです。取れる枚数は倒したポケモンで変わり、普通のポケモンなら1枚、強力な「ポケモンex」なら2枚、さらに強い「メガシンカex」なら3枚です。
サイドのほかにも、勝ち負けが決まる場面が2つあります。自分の場にポケモンが1匹もいなくなったプレイヤーは、サイドに関係なく負けです。山札がなくなり、自分の番の最初に山札を引けないプレイヤーも、サイドに関係なく負けになります。
残りのサイドが、勝利までの時計になる
この勝ち方では、勝負の進み具合がサイドの残り枚数として、両方のプレイヤーに見えています。「あと何匹倒せば勝てるか」を数えながら戦うゲームです。
ここから、ポケモンカードならではの計算が生まれます。強いポケモンexで戦えば相手を倒しやすくなりますが、倒されたときは相手にサイドを2枚渡します。残りが2枚の相手の前にexを出せば、その1匹が倒されるだけで負けです。どのポケモンで戦うかは、強さだけでなく「倒されたら何枚渡すか」で選ぶことになります。また、場のポケモンがいなくなると負けなので、控えのポケモンを置いておくこと自体が守りになります。倒したときのご褒美の働きは相手を倒すと何がもらえる?で比べました。
ONE PIECEカードゲーム:最後の一撃が別に要る
ONE PIECEカードゲームは、漫画『ONE PIECE』の登場人物で戦うカードゲームです。各プレイヤーは「リーダー」というカードを1枚持ち、リーダーに書かれた数だけ、デッキの上からカードを裏向きのまま「ライフ」として置きます。
リーダーがダメージを受けると、受けた側はライフを1枚、自分の手札に加えます。総合ルールが定める負けの条件は2つだけです。1つは、ライフが0枚のときにリーダーがダメージを受けること。もう1つは、自分のデッキが0枚になることです。ほかに、カードの効果で勝ったり負けたりする場合もあります。
ライフを削っても、まだ終わらない
ライフが0枚になること自体は、負けの条件に入っていません。ライフを全部削った後、さらにリーダーへの攻撃を1回通して、初めて勝ちになります。
守る側には、その最後の一撃を止める手段があります。キャラクターカードの多くに印刷された「カウンター」の数値を使い、手札から捨てることで、攻撃を受けたカードのパワーを上げられます。しかも、ライフを削られるたびに守る側の手札は増えていきます。攻める側は、相手がいちばん多くの手札を抱えた場面で、最後の一撃を通さなければなりません。
そのため攻める側は、1回の番に何回攻撃できるかを数え、相手の手札で守り切れない回数をそろえてから攻め込むことになります。守る側は、手札をどこまで使って耐えるかを考えます。ライフから手札に入ったカードの「トリガー」の効果で、攻撃を受けた瞬間に反撃が飛び出すこともあります。勝ちが目の前に見えてからが、いちばん粘れるゲームです。ゲームの全体像はワンピースカードの工夫とは?で紹介しています。
デュエル・マスターズ:シールドを割り、とどめを刺す
デュエル・マスターズ(デュエマ)は、2002年5月に第1弾が出た国産のカードゲームです。デッキはちょうど40枚で、対戦の準備で各プレイヤーは山札の上から5枚を、裏向きのまま「シールド」として並べます。
クリーチャーで相手を攻撃すると、相手のシールドをブレイクします。つまり割ります。割られたシールドは、持ち主の手札に加わります。シールドが1枚もない相手へ攻撃を通すと、その攻撃は「ダイレクトアタック」になり、受けたプレイヤーの負けです。ほかに、山札が0枚になったプレイヤーは、カードを引こうとしたかどうかに関係なく、その時点で負けになります。カードの効果で勝ったり負けたりすることもあります。
ONE PIECEカードゲームとよく似た、最後の一撃
守りを削り、削られた側の手札が増え、最後にもう一撃を通して勝つ。この流れは、ONE PIECEカードゲームのライフとリーダーへの攻撃とよく似ています。シールドが0枚になっただけでは、まだ勝ちではありません。
守る側の逆転の手段は、割られたシールドの中にあります。「S・トリガー」を持つカードは、シールドがブレイクされて手札に加わるとき、相手に見せて宣言すれば、コストを払わずにすぐ使えます。攻撃を受けた瞬間に、伏せてあった1枚が反撃に変わるのです。攻める側は、一度に何枚割るか(「W・ブレイカー」なら2枚)を考えながら、S・トリガーで返される危険と、相手に手札を渡す損を比べて攻め込みます。山札が0枚になった瞬間に負けるので、山札を大きく減らすカードを使うときにも気を配ることになります。
モンスターコレクション:倒すより、踏み込む
モンスターコレクション(モンコレ)は、1997年に出た国産のカードゲームです。地形カードで作った地図の上をモンスターの部隊が進み、陣地を取り合います。
総合ルールの勝ち方は、まず「本陣の陥落」です。相手の本拠地である「本陣」への進軍に成功したプレイヤーが勝ちになります。相手のモンスターを倒しても、それだけで勝ちに近づく決まりはありません。倒すことは、本陣までの道を空けるための手段です。
本陣が落ちないまま終わる場合の決まりもあります。すべてのプレイヤーの山札が尽きると、最後の山札がなくなった番の次の番が終わったところでゲームが終わります。同じ局面が6番続いたときも同じように終わります。どちらの場合も、それぞれが「相手の領土の中にいる自分のモンスターの数」を比べ、多いほうが勝ち、同じなら引き分けです。
地図を読み、どこまで踏み込むか
この勝ち方では、モンスターの強さよりも、どこにいるかが勝負を決めます。本陣へ届く道はどれか、どの土地を押さえれば相手の進軍を止められるか。プレイヤーは地図を読みながら部隊を動かします。本陣を落とせなくても、相手の領土へ深く踏み込んでいれば、山札が尽きたときの判定で有利になります。カードゲームなのに、陣取りの手触りがあるのはこのためです。進み方の仕組みはモンコレの進軍、山札の枚数と試合の長さの関係はデッキはなぜ40枚・60枚?で解説しています。
マジック:勝ち方そのものを選ぶ
マジック:ザ・ギャザリングは、1993年にアメリカで生まれたトレーディングカードゲームです。各プレイヤーは20点のライフでゲームを始め、ライフが0以下になると負けます(総合ルール104.3b)。
ただ、マジックの負け方はライフだけではありません。総合ルールには、ほかにもいくつかの負けの条件が並んでいます。
- ライブラリー(山札)に残っているより多くのカードを引くよう求められたら、残りを全部引いた後に負ける(104.3c)。
- 「毒カウンター」という印を10個以上得たら負ける(104.3d)。ライフがいくら残っていても関係ありません。
- カードの効果によって勝つ(104.2b)、負ける(104.3e)ことがある。
デッキが、勝ち方を決める
勝ちへの道が何本もあるので、マジックではデッキを組む段階で、どの道を通るかを選びます。速いクリーチャーで20点を削り切るデッキもあれば、毒カウンターを与えるカードを集めて10個を目指すデッキもあります。カードの効果で相手のライブラリーのカードを墓地へ送り、引くカードをなくさせる道もあります。
カードそのものに勝ち方が書かれていることもあります。2020年のセット『テーロス還魂記』の《タッサの神託者》は、戦場に出たとき、自分のライブラリーの残りが十分に少なければ、そのままゲームに勝つクリーチャーです。こうしたカードを使うデッキは、相手のライフを1点も削らずに勝つことがあります。
そのぶん、相手のデッキが何を狙っているかを読むことも大事になります。ライフを守っていれば安心、とは限らないからです。マジックは、勝ち方が1つに決まっていないことで、デッキの種類そのものを広げてきたゲームと言えます。
遊戯王OCG:8000のライフを削り合う
遊戯王オフィシャルカードゲーム(遊戯王OCG)は、モンスター・魔法・罠の3種類のカードで戦うカードゲームです。デッキは40枚以上60枚以下で、お互いに8000のライフポイントを持って始めます。相手のライフポイントを先に0にしたプレイヤーが勝ちで、お互いのライフポイントが同時に0になったときは引き分けです。
ライフのほかにも、勝ち負けが決まる場面があります。カードを引かなければならないときに、デッキが0枚で引けなければ負けです。デュエマと違い、デッキの残りが0枚になっただけでは、まだ負けではありません。そしてカードの効果で勝つこともあります。《封印されしエクゾディア》《封印されし者の右足》《封印されし者の左足》《封印されし者の右腕》《封印されし者の左腕》の5枚が自分の手札にすべてそろうと、その時点でデュエルに勝ちます。
マジックに近い、ライフと別の勝ち筋
決まった数のライフを削り切れば勝ち、山札から引けなければ負け、カードの効果による別の勝ち方もある。この組み立ては、マジックとよく似ています。ポケモンカードのように倒した数を数えるのではなく、ライフという1本の数値を削り合うゲームです。
そのうえで、エクゾディアのように手札をそろえて勝つ道があります。この道を狙うデッキは、相手のライフを1点も削らずに勝つことがあります。マジックと同じく、ライフを守っていれば安心とは限らず、相手が何を集めているかを読むことも勝負になります。
勝ち方と遊び方を並べると
同じ「カードで戦う」ゲームでも、何をしたら勝ちかで、プレイヤーが見るところが変わります。
| ゲーム | 何をしたら勝ちか | そこから生まれる遊び方 |
|---|---|---|
| ポケモンカードゲーム | → 自分のサイドを全部取る(相手の場のポケモンがいなくなる、相手が番の最初に山札を引けない、でも勝ち) | → 倒すたびに勝利へ近づく積み上げ型。どのポケモンで戦うかが「何枚渡すか」の計算になる |
| ONE PIECEカードゲーム | → ライフ0枚の相手のリーダーに、さらにダメージを与える(相手のデッキが0枚になる、でも勝ち) | → 最後の一撃を通すまで終わらない。守る側は増えた手札とカウンターで粘る |
| デュエル・マスターズ | → シールド0枚の相手にダイレクトアタックを通す(相手の山札が0枚になる、カードの効果、でも勝ち) | → シールドを割ってから最後の一撃。割ったシールドのS・トリガーで返される危険と比べて攻める |
| モンスターコレクション | → 相手の本陣への進軍に成功する(山札が尽きたら、相手の領土にいる自軍の数で判定) | → 倒すより踏み込む陣取り。地図を読んで道を選ぶ |
| マジック:ザ・ギャザリング | → 相手のライフを0以下にする、引けなくする、毒カウンター10個、カードの効果 | → 勝ち筋が何本もあり、デッキごとに狙う勝ち方が違う |
| 遊戯王OCG | → 相手のライフポイント8000を0にする(相手がドローできない、エクゾディアなどカードの効果、でも勝ち) | → ライフを削り合いながら、手札をそろえるなど別の勝ち筋も狙える |
| 背界の旅団 | → 相手の旅団長をすべて倒す(12巡で決着しなければ、占領した土地の数で判定) | → 大将を守りながら追う。逃げたり攻めたりしてマップを広く使う |
勝ち方は、ゲームの最後に一度だけ使うルールではありません。最初の一手から、プレイヤーが何を大事にして、何を数えるかを決めている決まりです。
『背界の旅団』:大将を倒せば勝ち
私が制作したカードゲーム『背界の旅団』では、最初の召喚で自分の本陣に出した1〜3体が「旅団長」になります。旅団長は軍を率いる大将で、相手の旅団長をすべて倒せば勝ちです。両軍の旅団長が同時に全員倒れたときは引き分けになります。
土台にあるのは、モンコレの「土地を進む」遊びです。ただし勝ち方は変えました。『背界の旅団』では、相手の本陣へたどり着いただけでは勝ちになりません。私は単純な召喚術師だったので、モンコレでは「結局まっすぐ進んで終わり」という展開になりがちでした。それを仕組みでなくすために、逃げたり攻めたりしながらマップを広く使う「旅団長戦」という形にしています。
旅団長を何体選ぶかも、勝ち方とつながっています。多く選べば1体倒されてもまだ戦えますが、そのぶん守らなければならない相手も増えます。旅団長は本陣にこもる必要はなく、仲間と一緒に前へ出ることもできます。大将を前に出して攻めるか、後ろに残して守るか。相手の大将がどこにいるかを地図の上で追いかけることが、そのまま勝ち方になっています。一戦は約10分で、12巡で決着しないときは、占領した土地の数が多いほうの勝ちです。同じなら、相手の本陣へより近い土地を持つ側、つまり前線を押し上げた側が勝ち、それでも同じなら引き分けになります。陣取りだったモンコレの名残が、時間切れの判定に残っているわけです。詳しくは『背界の旅団』の公式サイトをご覧ください。ゲームの世界設定やカードは独自に作ったもので、各作品の公式作品・派生作品ではありません。
この記事を共有する