タップとは?カードを横に倒す仕組みと、レスト・疲労・行動完了

カードを横に倒して「もう使った」と示すやり方は、アメリカで特許になっていました。
最初のマジック:ザ・ギャザリングには、今のようなタップの記号がなく、「Tap to…」と文章で書かれていました。
そしてモンスターコレクションでは、倒れたカードが起き上がるのは、自分の番の始めではなく、番の終わりでした。

カードを横に倒すだけ。それだけで「このカードは今回もう動けない」が、テーブルの誰の目にも分かります。カードゲームを支える、いちばん小さくて強い発明かもしれません。この仕組みがどこから来て、ゲームごとにどう呼ばれ、いつ元に戻るのか。公式のルールで比べてみます。

この記事で分かること

  • タップは特許の中に書かれていた:マジックの生みの親の特許に、カードを約90度回して使用中を示すやり方が含まれ、2014年に期限を迎えました。
  • 同じ仕組みに、いくつもの呼び名がある:レスト、疲労、行動完了。言葉は違っても、縦が「使える」、横が「使った」です。
  • 違いは「いつ起き上がるか」:自分の番の始めに起きるゲームと、番の終わりに両者がそろって起きるゲームがあります。

マジック:倒して使い、番の始めに起こす

マジック:ザ・ギャザリング(1993年にアメリカで生まれたトレーディングカードゲーム)の総合ルールでは、タップは場のカードを縦から横に倒すこと、アンタップは縦に戻すことです。土地はタップしてマナ(カードを使うための資源)を出し、クリーチャーは攻撃するとタップします。能力のコストに書かれた矢印の記号は、「このカードをタップする」という意味です。

倒れたカードは、自分の番の最初の「アンタップ・ステップ」で、すべて起き上がります。だから、攻撃に出たクリーチャーは、相手の番の間は横になったまま。相手の攻撃を受け止める「ブロック」に立てるのは、起きているクリーチャーだけです。攻めれば守りが薄くなる。倒すという動作ひとつに、この駆け引きが詰まっています。例外として「警戒」を持つクリーチャーは、攻撃してもタップしません。

タップの記号には歴史があります。1993年の最初のセットでは記号がなく、文章で指示していました。1994年の版で丸の中に傾いた「T」の記号になり、1995年の版で、傾いたカードに曲がった矢印を重ねた記号に変わります。今の灰色の丸に黒い矢印の形になったのは、2003年の第8版からです。

タップは、特許に書かれていた

マジックの生みの親リチャード・ガーフィールドの名前で、1997年にアメリカで「トレーディングカードゲームの遊び方」の特許が登録されています。その中には、資源のカードを約90度回して使用中であることを示す、という内容が含まれていました。この特許はのちに再発行され、2014年6月に期限を迎えています。

特許が守るのは言葉ではなく、遊び方の方法です。ほかのカードゲームが「タップ」以外の言葉を使う理由として、この特許がよく語られます。けれど、作り手がそう説明した公式の資料は見つかりませんでした。言葉を変えても、方法が同じなら特許を避けたことにはならないので、呼び名の違いは、それぞれのゲームの個性づくりと考える方が自然だと私は思います。なお、矢印の記号そのものについては、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト(マジックの発売元)が自社だけの権利だと公式に書いています。

デュエマ・ONE PIECE・バトスピ・ヴァンガード:呼び名はいろいろ

デュエル・マスターズ(タカラトミーが発売しているトレーディングカードゲーム。デュエマ)は、マジックの発売元と組んで作られたゲームで、言葉もそのまま「タップ」「アンタップ」です。総合ゲームルールでは、縦向きがアンタップ状態で「使える」、横向きがタップ状態で「使った」を示します。攻撃するときと、マナゾーンのカードでコストを払うときにタップし、自分の番の始めにすべてアンタップします。

ONE PIECEカードゲーム(漫画『ONE PIECE』のカードゲーム)では、縦向きを「アクティブ」、横向きを「レスト」と呼びます。カードを出すときは、ドン!!カードをコストの数だけレストにして払い、アタックするときはリーダーやキャラをレストにします。自分の番の始めの「リフレッシュフェイズ」で、すべてアクティブに戻ります。

ほかの国産のカードゲームにも、同じ仕組みが別の名前で入っています。カードファイト!! ヴァンガードとヴァイスシュヴァルツは「レスト」と「スタンド」、バトルスピリッツは「疲労」と「回復」です。バトルスピリッツにはさらに、逆向きに置く「重疲労」という、もう一段深い倒れ方まであります。

遊戯王とポケモン:横向きの意味が違う

遊戯王オフィシャルカードゲーム(遊戯王OCG)でも、モンスターを横向きに置きます。ただし、その意味は「守備表示」です。縦向きが攻撃表示、横向きが守備表示で、横向きは「使った」ではなく、守りの構えを表します。攻撃してもカードは倒れません。

ポケモンカードゲームには、使ったカードを倒す仕組みがありません。カードを横向きにするのは、ポケモンが「ねむり」や「マヒ」になったときの目印です。「こんらん」のときは、さかさ向きに置きます。向きは、行動の記録ではなく、ポケモンの体の状態を表しています。

モンコレ:番の終わりに、両者がそろって起き上がる

1997年に出た国産のカードゲーム『モンスターコレクション』(モンコレ)では、モンスターの状態を「未行動」と「行動完了」と呼びます。未行動は縦向き、行動完了は横向きです。進軍を宣言できるのは未行動のモンスターだけで、進軍したモンスターは、勝っても負けても行動完了になります。特殊能力の多くも、自分を行動完了にすることがコストです。

面白いのは、起き上がるタイミングです。モンコレでは、番の最後の「終了宣言フェイズ」で、攻めた側も守った側も、すべてのモンスターが未行動に戻ります。相手の番に攻め込まれ、戦いで行動完了になった守り手も、相手の番の終わりに起き上がるので、自分の番には元気に動けます。自分の番の始めに自分のカードだけを起こすマジックとは、ここが違います。

並べると

ゲーム横向きの呼び名いつ起き上がるか
マジック:ザ・ギャザリングタップ自分の番の始め(アンタップ・ステップ)
デュエル・マスターズタップ自分の番の始め
ONE PIECEカードゲームレスト自分の番の始め(リフレッシュフェイズ)
ヴァンガード・ヴァイスシュヴァルツレスト自分の番の始め(スタンドフェイズ)
バトルスピリッツ疲労(逆向きは重疲労)自分の番の始め(リフレッシュステップ)
モンスターコレクション行動完了番の終わりに、両者がそろって
遊戯王OCG守備表示(「使った」ではない)―
ポケモンカードゲームねむり・マヒの目印―

『背界の旅団』は、倒さずに「封蝋の印」を押す

私が制作したカードゲーム『背界の旅団』は、モンコレと同じく「行動済み」という考え方を使っています。進軍したモンスターと、本陣に召喚したばかりのモンスターは行動済みになり、自分の次の番が始まるまで進軍できません。戦いの中でも、攻撃や能力を使ったモンスターは行動済みになり、その戦いではもう動けません。

ただ、画面の上ではカードを横に倒しません。スマートフォンの盤面では、1つの土地に何枚ものカードが重なって並びます。そこでカードを横にすると、重なりが崩れて、名前や数字が読めなくなってしまいます。そこで、カードは縦のまま、手紙の封をする「封蝋」のようなチェックの印を押して、行動済みを示しています。隊列でカードが重なっていても、見えている部分に1枚ずつ印を置くので、誰が動いて誰が動けるかを一度に読めます。

『背界の旅団』のカード「ドワーフ鍛冶職人」 『背界の旅団』のカード「バードマン翼将」
『背界の旅団』のドワーフ鍛冶職人(レベル2)と、バードマン翼将(レベル2)。鍛冶職人の能力にある【✓行動】の印は、その能力を使うとこのモンスターの行動が終わり、攻撃に参加できなくなる、という意味です。App Storeで遊ぶ(無料)

能力の文の頭に付く【✓行動】の印も、同じ考え方です。この印のある能力は、使えばそのモンスターの行動を使い切り、その戦いでは攻撃に加われません。カードを倒す代わりに印で示す。紙のカードの約束ごとを、画面の上で読みやすい形に置き換えています。詳しくは『背界の旅団』の公式サイトをご覧ください。

この記事を共有する

本記事は個人による非公式の解説です。各作品の権利は各権利者に帰属します。『遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム』の権利は ©スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI に、『デュエル・マスターズ』の権利は ©2026 Wizards of the Coast/Shogakukan/WHC/ShoPro ©TOMY に帰属します。『モンスター・コレクション』の権利は株式会社グループSNE、株式会社KADOKAWAほか各権利者に帰属します。各ゲームのルールは記事公開時点の公式ルールで説明しています。正確な裁定は各公式のルールをご確認ください。

参考資料

TCGのゲーム性の記事をもっと見る →すべての記事を見る →