マジック:ザ・ギャザリングのデッキには、実は色の決まりがありません。
それでも色をたくさん混ぜると、手札のカードが出せなくなります。
モンコレは、その縛りを「デッキ」ではなく「戦場」に置いたゲームでした。
多くのカードゲームには「色」や「タイプ」があり、色を混ぜすぎるとうまく遊べません。ところが1997年に出たカードゲーム『モンスターコレクション』(モンコレ)では、気に入ったモンスターを属性に関係なく1つのデッキへ集められました。私はこの自由さが、モンコレのいちばんの良さだと思っています。なぜモンコレは混ぜられたのか。答えは、色で縛る場所がゲームごとに違うことにあります。
この記事で分かること
- 縛りはデッキではなく支払いにある:マジックやポケモンカード、デュエル・マスターズは、カードを出すときの支払いで色を縛っています。
- 入口で縛るゲームもある:ワンピースカードゲームは、デッキを組む段階で使える色を決めてしまいます。
- 色で縛らないゲームもある:遊戯王OCGには色の支払いがなく、強いモンスターほど出すのに仲間を差し出す「重さ」で縛ります。
- モンコレは戦場で縛った:モンスターは自由に混ぜられる代わりに、魔法は「誰を戦場に連れて行くか」で縛られます。
マジック:色は「支払い」で縛られる
1993年にアメリカで生まれたカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』(マジック)には、白・青・黒・赤・緑の5つの色があります。カードを出すには「マナ」という力を支払い、赤いカードには赤のマナが要ります。そのマナを出すのが土地のカードで、山は赤、森は緑というように、土地ごとに出せる色が決まっています。土地は1回の番に1枚しか出せません。
デッキを組むときの決まりは、60枚以上、同じ名前のカードは4枚まで、くらいで、色の制限はありません。ただ、色を増やすほど、必要な色の土地が手元にそろわない危険が増えます。2色を出せる土地もありますが、すぐには使えない状態で出るものが多く、展開が遅れます。マジックの色の縛りは、デッキの決まりではなく「マナの支払い」から生まれているのです。
ポケモンカード:技の支払いで縛られる
ポケモンカードゲームも、デッキは60枚、同じ名前は4枚までで、入れるタイプに制限はありません。縛りになるのは、ポケモンの技を使うための「エネルギー」です。技には必要なエネルギーのマークが描かれていて、たとえば闘のマークには闘エネルギーが要ります。エネルギーは1回の番に1枚しかつけられないので、多くのタイプを混ぜると、技に合うエネルギーがそろわなくなります。だからデッキは、同じタイプのポケモンとエネルギーで組むのが基本です。
デュエル・マスターズ:文明のマナで縛られる
デュエル・マスターズ(タカラトミーのカードゲーム。デュエマ)には、光・水・闇・火・自然の5つの「文明」があります。クリーチャーを出したり呪文を唱えたりするには「マナ」を支払い、その支払いにはカードの文明も含まれます。火のカードを使うには、マナゾーンにある火の文明のカードを1枚以上使わなければなりません。デッキはちょうど40枚、同じ名前は4枚までで、入れる文明の決まりはありません。
マジックと違うのは、マナを出す専用のカードがないことです。自分の番に、手札のカードを1枚まで、どれでもマナゾーンに置けます。つまりデッキのカードそのものが、マナの元になります。文明を混ぜるほど、必要な文明がマナゾーンにそろいにくくなるのはマジックと同じです。2つ以上の文明を持つ多色カードはマナゾーンに横向き(タップした状態)で置かれるので、置いたその番はマナとして使えません。また、多色カード1枚で払えるのは、そのうち1つの文明だけです。混ぜる助けになる代わりに、少し遅れる作りです。
ワンピースカード:デッキの入口で縛られる
ワンピースカードゲームは、縛る場所が違います。1枚の「リーダー」カードを決め、デッキにはリーダーの色を含むカードしか入れられません。その代わり、対戦中にカードを出すときの支払いには色がなく、色のない「ドン!!」カードで払います。入口で色を決めてしまい、場に出すときは色を気にしなくていい作りです。
遊戯王:色ではなく重さで縛られる
遊戯王OCG(遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム。KONAMIのカードゲーム)には、闇・光・地・水・炎・風などの「属性」があります。ただ、属性は一部のカードの効果が参照するもので、デッキの組み方を縛るものではありません。デッキは40枚以上60枚以下、同じ名前は3枚までで、属性の決まりはありません。マジックの土地やデュエマのマナのような、色付きの支払いもありません。
その代わりに縛られるのが、モンスターの強さです。モンスターを手札から出す通常の召喚は1回の番に1度だけで、レベル5・6のモンスターは自分の場のモンスター1体を、レベル7以上は2体を「リリース」(墓地へ送ること)しなければ出せません。縛っているのは色ではなく強さの重さで、この点は次のモンコレのリミットに近い考え方です。
モンコレ:戦場で縛られる
モンコレのデッキは50枚、同じ名前は3枚までで、属性の決まりはありません。そして、モンスターを出す「召喚」には、基本的に支払いが要りません。マジックの土地やポケモンカードのエネルギーにあたる、色付きの支払いがないのです。
その代わりに召喚を縛るのは、土地ごとの「リミット」です。その土地に置けるモンスターのレベル(強さ)の合計に上限があり、縛っているのは色ではなく強さの重さです。だから属性を混ぜても出せなくなることはなく、代わりに「どこに誰を置くか」の悩みが生まれます(モンスターコレクションの進軍とは?で詳しく書きました)。
ただし、魔法は使い手がいないと撃てない
モンコレも、何でも自由ではありません。戦いの中で使う魔法には、はっきりした縛りがあります。魔法を撃つには、戦場にいるモンスターが持つ「スペル枠」を使います。スペル枠には火・水などの属性があり、火の魔法を撃ちたければ、火のスペル枠を持つモンスターをその戦場へ連れて行かなければなりません。属性を混ぜたデッキに魔法をたくさん入れると、肝心の戦いで使い手がいない、ということが起きます。
つまりモンコレの属性の縛りは、デッキ全体ではなく、戦場ごとの仲間の組み合わせに掛かっていました。モンスターは好きなだけ混ぜて集められ、魔法の属性は「誰を連れて戦うか」で決まる。この形が、好きなモンスターを集める楽しさと、仲間の組み合わせを考える楽しさを両立させていたのだと思います。
6つのゲームは、どこで色を縛るか
| ゲーム | デッキ構築での色の制限 | 出すときのコスト | 色・属性が効いてくる場所 |
|---|---|---|---|
| マジック:ザ・ギャザリング(構築戦) | なし(60枚以上、同名4枚まで) | 色マナを含むマナ・コスト | 土地から出る色マナ |
| ポケモンカードゲーム | なし(60枚、同名4枚まで) | ワザにタイプ別のエネルギー | 1番に1枚つけるエネルギーのタイプ |
| デュエル・マスターズ | なし(ちょうど40枚、同名4枚まで) | 文明の支払いを含むマナ・コスト | 手札からマナゾーンに置いたカードの文明 |
| ONE PIECEカードゲーム | リーダーの色を含むカードだけ | 色のないドン!!カード | デッキ構築の段階 |
| 遊戯王OCG | なし(40〜60枚、同名3枚まで) | 色の支払いなし。レベル5以上はリリースが必要 | 属性は一部のカードの効果が参照するだけ |
| モンスターコレクション | なし(50枚、同名3枚まで) | 召喚は原則コストなし、地形のリミット以内 | 戦闘スペルを使うスペル枠の属性 |
縛りが悪いわけではありません。色ごとに得意なことが決まっていればデッキの性格がはっきりしますし、強いカードを色を問わず全部入れる組み方も防げます。どこを縛るかで、ゲームの手触りが変わる。モンコレはそれを、デッキの色ではなく、土地の広さと戦場の仲間に置いたのです。
『背界の旅団』の場合
私が制作したカードゲーム『背界の旅団』でも、この考え方を受け継いでいます。
- デッキは30枚です。同じ名前のカードは原則3枚までで、一部に1枚制限や枚数無制限のカードがあります。
- 属性は火・水・土・風の4種類で、属性どうしの相性による倍率はありません。デッキに入れる属性の制限はなく、混ぜて組めます。
- 魔法カードの「魔力」は、必要なスペル枠の数です。魔法と同じ属性のスペル枠を、魔力と同じ数だけ戦闘中のパーティから使って唱えます。使った枠は戦闘が終わると回復します。
モンスターは属性を混ぜて自由に集められ、魔法を撃つには同じ属性の使い手を戦場へ連れて行く。モンコレで私が好きだった、この自由さと仲間選びの悩みの組み合わせを、短い対戦の中で味わえるようにしています。詳しくは『背界の旅団』の公式サイトをご覧ください。
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