カードゲームのデッキはなぜ40枚・60枚?枚数と引く確率

遊戯王OCGのデッキは40枚から60枚まで自由に選べますが、計算すると40枚のほうが欲しいカードを引きやすくなります。
ポケモンカードゲームでは、デッキを60枚から40枚にすると、取り合う「サイド」も6枚から4枚に減ります。
そしてモンスターコレクションでは、お互いの50枚の山札が尽きると、勝負そのものが終わりました。

カードゲームのデッキは、ゲームごとに40枚、50枚、60枚と枚数が違います。同じ名前のカードを入れられる上限も、3枚のゲームと4枚のゲームがあります。どれも何となく決まった数に見えますが、枚数を変えると、欲しいカードを引ける確率も、毎回の引きのばらつきも、1試合の長さも変わります。デッキの枚数は、いったい何を決めているのでしょうか。

この記事で分かること

  • 確率を決めるのは「割合」:特定の1枚を初手で引ける確率は、手札の枚数÷デッキの枚数で、40枚なら5枚の手札で12.5%、60枚なら8.3%です。
  • 同名の上限が、毎回の揺れを抑える:同じカードを3枚、4枚と重ねて入れられるから、デッキが大きくても「いつもの動き」ができます。
  • デッキは試合の時計にもなる:山札が尽きたら負け、あるいは山札が尽きたら終わり。枚数は試合の長さともつながっています。

主なカードゲームのデッキ枚数を並べる

まず、公式ルールに書かれている枚数を並べます。遊戯王オフィシャルカードゲーム(遊戯王OCG、漫画『遊☆戯☆王』のカードゲーム)、マジック:ザ・ギャザリング(1993年にアメリカで生まれたトレーディングカードゲーム)、ポケモンカードゲーム、ONE PIECEカードゲーム(漫画『ONE PIECE』のカードゲーム)、デュエル・マスターズ(2002年に第1弾が出た、タカラトミーが販売するカードゲーム。デュエマ)、そして1997年に出た国産のカードゲーム『モンスターコレクション』(モンコレ)です。

ゲームデッキの枚数同じカードの上限最初の手札
遊戯王OCG40〜60枚3枚5枚
マジック(構築戦)60枚以上4枚(基本土地は無制限)7枚
マジック(リミテッド)40枚以上制限なし(その場で開けたカードから組む)7枚
ポケモンカードゲーム60枚ちょうど4枚(基本エネルギーは無制限)7枚
ONE PIECEカードゲーム50枚ちょうど(ほかにリーダー1枚)4枚5枚
デュエル・マスターズ40枚ちょうど4枚5枚(ほかにシールド5枚)
モンスターコレクション(構築戦)50枚ちょうど3枚6枚

マジックの「リミテッド」は、その場でパックを開け、出たカードだけで組む遊び方です。手元のカードが限られるので枚数は40枚以上と少なめで、同じカードの上限もありません。マジックは同じゲームの中で、遊び方に合わせて枚数を変えているわけです。

「何枚以上」と下限だけを決めるゲームと、「ちょうど何枚」と決めるゲームがあることも分かります。この違いは、次の確率の話で意味を持ってきます。

欲しい1枚を引ける確率は「割合」で決まる

デッキに1枚だけ入れたカードを、最初の手札で引ける確率を考えます。よく混ぜた山札の、どの位置にそのカードがあるかは同じ確率です。手札に入るのは上から数枚なので、確率は次のとおりです。

1枚だけ入れたカードを初手で引く確率 = 手札の枚数 ÷ デッキの枚数

  • 40枚のデッキで5枚引く:5÷40=12.5%(遊戯王OCGの40枚、デュエル・マスターズ)
  • 60枚のデッキで5枚引く:5÷60=約8.3%
  • 60枚のデッキで7枚引く:7÷60=約11.7%

遊戯王OCGでは、同じ5枚の手札でも、40枚と60枚では引ける確率が1.5倍違います。デッキを増やすと、入れたカードそれぞれの出番が薄まるのです。遊戯王が「40〜60枚」と幅を持たせていても、特定のカードを引きたいデッキほど40枚に近づける理由は、この割り算にあります。

反対に、ポケモンカードやONE PIECEカードゲーム、デュエル・マスターズ、モンコレのように「ちょうど何枚」と決めてあれば、枚数を削って確率を上げる工夫そのものができません。誰のデッキも同じ割合の中で勝負することになります。

デュエマは、最初の10枚のうち5枚を「シールド」に伏せる

デュエル・マスターズでは、ゲームを始めるときに山札の上から5枚を裏向きのまま「シールド」として並べ、それから5枚を引いて手札にします。シールドは相手の攻撃から自分を守る壁で、相手のクリーチャーに攻撃されて割られる(ブレイクされる)と手札に加わります。シールドがなくなった状態で攻撃を受けると負けです。

確率で見ると、山札の上から10枚のうち、手札に入るのは5枚だけです。1枚だけ入れたカードが手札にある確率は5÷40=12.5%で、同じく12.5%の確率でシールドの中に伏せられています。シールドに入ったカードは、割られるまで使えません。デッキの枚数は40枚ちょうどと決まっていますが、最初の10枚をどう分けるかで、手札とは別にもう一つの「引き」が生まれています。

同名の上限が、毎回の引きの揺れを抑える

同じカードを複数枚入れると、確率は大きく上がります。何枚か入れたカードを1枚以上引く確率は、「1枚も引かない確率」を1から引いて求めます。

1枚以上引く確率 = 1 −(入れていないカードだけから手札をそろえる組み合わせ)÷(手札のすべての組み合わせ)

たとえば遊戯王OCGの40枚に同じカードを3枚入れ、5枚の手札を引く場合、残りの37枚だけから5枚を選ぶ組み合わせは435,897通り、40枚から5枚を選ぶ組み合わせは658,008通りです。1−435,897÷658,008で、約33.8%になります。同じように計算すると、次のとおりです。

デッキと手札同じカードの枚数初手で1枚以上引く確率
遊戯王OCG 40枚・手札5枚3枚約33.8%
遊戯王OCG 60枚・手札5枚3枚約23.3%
マジック/ポケモンカード 60枚・手札7枚4枚約39.9%
ONE PIECEカードゲーム 50枚・手札5枚4枚約35.3%
デュエル・マスターズ 40枚・手札5枚4枚約42.7%
モンスターコレクション 50枚・手札6枚3枚約32.4%

60枚のマジックやポケモンカードは、デッキは大きくても、同じカードを4枚入れられて最初の手札も7枚あるため、40枚の遊戯王より高い確率になります。同じ40枚・手札5枚でも、同じカードを4枚まで入れられるデュエル・マスターズは、1−376,992÷658,008で約42.7%と、3枚までの遊戯王OCGの約33.8%より高くなります。枚数、上限、手札の3つの数が組み合わさって、引きやすさが決まっているのです。

上限まで入れると、何種類で組めるか

同じカードを上限まで入れたとき、デッキを埋めるのに最低何種類いるかも数えられます。60枚を4枚ずつなら15種類、遊戯王の40枚を3枚ずつなら14種類、デュエマの40枚を4枚ずつなら10種類、モンコレの50枚を3枚ずつなら17種類です。種類が少ないほど、毎試合同じ顔ぶれが手札に来やすく、引きの揺れが小さくなります。逆に上限を厳しくすれば、毎回違う展開が生まれます。上限の数は、安定と変化のどちらへ寄せるかのつまみでもあります。

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デッキの枚数は、試合の時計にもなる

デッキの枚数は、試合の長さとも結びついています。多くのゲームには、山札が尽きたときの決まりがあるからです。

遊戯王OCGでは、デッキからカードを引けなくなったプレイヤーが負けます。ポケモンカードゲームでも、自分の番の最初に山札を引けなければ負けです。ONE PIECEカードゲームでは、デッキが0枚になること自体が負けの条件に入っています。デュエル・マスターズも同じで、山札が0枚になったプレイヤーは、その時点で負けます。最初にシールドと手札で10枚を使うので、40枚の山札から番ごとに引けるのは残りの30枚です。デッキの枚数は、そのまま「何番まで戦えるか」の上限になります。

ポケモンカードは、枚数に合わせて勝利条件も縮める

ポケモンカードゲームでは、相手のポケモンを倒すたびに「サイド」と呼ぶ伏せたカードを1枚取り、全部取れば勝ちです。60枚のデッキでは、このサイドを6枚置きます。公式の遊び方の一つ「シールド戦」では、デッキを40枚ぴったりにして、サイドを4枚にします。公式のルールガイドには、30枚のデッキで遊ぶときはサイドが3枚という前提まで書かれています。デッキが小さければ、勝つまでに倒す数も減らす。枚数を変えると試合の長さが変わることを、ルールの側で見込んでいるのです。

モンコレでは、山札が尽きると勝負が終わる

モンコレの総合ルールでは、すべてのプレイヤーの山札が尽きた場合、最後の山札がなくなった番の次の番が終わったところで、ゲームが終わります。そのときは、相手の領土に自分のモンスターがどれだけいるかで勝敗を決めます。モンコレは、山札の一番上のカードを自分の「本陣」として置き、手札を6枚まで引いて始まり、自分の番ごとに手札を6枚まで補充します。山札の枚数は、お互いに見てよい公開の情報です。50枚の山札は、そのまま試合の残り時間を示す砂時計でした。モンコレの陣取りの仕組みはモンコレの進軍で解説しています。

枚数が決めているもの

ここまでを並べると、デッキの枚数は、ゲームの手触りを決める大事な数だと分かります。

デッキの枚数を変えると何が変わるか
枚数を減らす→ 入れたカード1枚あたりの引ける確率が上がる(手札÷デッキの割合)
同じカードの上限を増やす→ 少ない種類でデッキが埋まり、毎回の引きの揺れが小さくなる
下限だけ決める→ 枚数を削って確率を上げる工夫が生まれる(遊戯王の40〜60枚)
ちょうどの枚数に決める→ 全員が同じ割合で勝負する(ポケモンカード、ONE PIECE、デュエマ、モンコレ)
山札切れの決まりと組み合わせる→ 枚数が試合の長さの上限になる(ポケモンのサイド枚数、モンコレの山札切れ)

40枚、50枚、60枚という数は、それぞれのゲームの手札の枚数、同名の上限、勝ち方と一緒に組み立てられています。一つだけ取り出して多い少ないを比べても、あまり意味がないのです。

背界の旅団は、30枚・同名3枚まで

私が制作したカードゲーム『背界の旅団』は、一戦が約10分のiPhone向けのカードゲームです。デッキは30枚で、同じ名前のカードは3枚まで入れられます。ハーレクインとオーフェンは1枚まで、ワーカー・アントのように枚数の制限がないカードもあります。モンコレと同じように、手番の終わりに手札を6枚まで補充します。

この記事の計算に当てはめると、30枚のデッキから6枚の手札をそろえたとき、1枚だけ入れたカードがその中にある確率は6÷30=20%です。3枚入れたカードなら、1−296,010÷593,775で約50.1%。モンコレの50枚で同じ3枚を入れたときの約32.4%より、ずっと引きやすくなります。1枚しか入れられないハーレクインやオーフェンも、6枚の手札なら5回に1回は入っている計算です。

『背界の旅団』のカード「ワーカー・アント」 『背界の旅団』のカード「マザー・アント」
『背界の旅団』のワーカー・アント(火・コモン)とマザー・アント(火・レア)。ワーカー・アントは、デッキに何枚でも入れられます。App Storeで遊ぶ(無料)

デッキが小さいぶん、入れたカードの1枚1枚が手札に来やすい。この記事で比べたゲームの中では、引きたいカードを引きやすい側にある枚数です。ゲームの世界設定やカードは独自に作ったもので、各作品の公式作品・派生作品ではありません。デッキの属性の考え方はモンコレのデッキの自由さでも書きました。詳しくは背界の旅団の公式サイトをご覧ください。

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本記事は個人による非公式の解説です。各作品の権利は各権利者に帰属します。『モンスター・コレクション』の権利は株式会社グループSNE、株式会社KADOKAWAほか各権利者に帰属します。遊戯王OCG:©スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI。デュエル・マスターズ:©2026 Wizards of the Coast/Shogakukan/WHC/ShoPro ©TOMY。

参考資料

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